日本最高の気候における人口減少――函館市という中核市の衰退
20220626 日本最高の気候における人口減少――函館市という中核市の衰退
最高気温が25度以上になる日が夏日であり、最高気温が30度以上になる日が真夏日であり、最高気温が35度以上になる日が猛暑日である。2022年6月24日、2022年6月25日において、瀬戸内海地方、例えば高松市では、最高気温35度を記録した。6月下旬にして、すでに猛暑日である。[1] 地球温暖化の勢いはとどまることはない。
猛暑日の夜には、エアコンなしに過ごすことは、ほとんど不可能である。通常よりも、多くのアルコールを摂取することになる。偶然、6月下旬に高松市の実家に過ごす機会があった。通常、350mlの缶ビール3本までとしているが、この猛暑日は、4本を摂取することになった。
北海道函館市では、最高気温22度であり、最高に過ごしやすい日々が続いていた。[2] 北海道の主要都市、例えば6月25日の札幌市では、最高気温30度を記録し、真夏日を記録している。北海道の夏は過ごしやすいという印象があるが、あまり当てはまらない。夏、過ごしやすい地域は、函館市、伊達市等の道南地域、釧路市等の道東地域、稚内市等の道北地域だけある。もっとも、道東地域は、厳寒期には、24時間暖房を入れる必要があり、気候的に過ごしやすいとは言い難い。冬の結露対策及び水抜きは、必須である。
対照的に、道南地域では冬でも、ほとんど雪は降らないし、最低気温もマイナス10度を下回る日は、数日でしかない。30㎝の降雪量はほぼ想定する必要はなく、深夜も暖房をつけることはない。2重窓にしている場合、日中でも暖房を使用しない冬も珍しくない。とりわけ、旧函館市の中心街、地元の言葉で西部地区では、その傾向が強い。この地域は、南北に海に囲まれた半島であり、どちら海にも、徒歩にて到達可能である。海風が両方向から流れおり、大気汚染もその程度が緩やかである。対照的に、戦後、函館市と合併した旧亀田市では、函館旧市街と比較して、降雪量も多く、冬の厳しさもより強大である。戦後開通した産業道路沿いの大気汚染は、誰もが知覚することができるほどある。旧市街の気候、自然環境は、申し分ない。
おそらく、この道南地方の気温は、北ドイツの気候とかなり似ている。ローストック等の北ドイツでは気候も乾燥しており、過ごしやすい。ベルリンでも、冷房装置がない家庭が大半であり、気温が30度を超えると、市民は狂喜乱舞する有様である。函館市は、北ドイツと比べて、気候的には甲乙をつけがたい。
日本の避暑地として、軽井沢が有名であるが、夏にはかなり熱く、冬に暖房なしですごすことはほとんど不可能である。この意味で、函館市等の道南地域、つまり北海道南部の気候は日本で最高であると断言してもよいであろう。
このような本邦では最高の気象条件を備える函館市であるが、人口減少に歯止めがかからない。平成の大合併で中核市に昇格したが、その後、人口が減り続け、2022年現在では、25万人でしかない。昭和初期まで、上野以北で最大の繁華街を有していた大都市の面影は消え失せている。
この20年間で、人口が5万人ほど減少した計算になる。日本最高の気候条件を有しているいるにもかかわらず、なぜ、人口減少が続くのであろうか。その一つが行政の存在形式であろう。
[1] https://tenki.jp/past/2022/06/24/weather/8/
[2] https://tenki.jp/past/2022/06/24/amedas/1/4/23232.html
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