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討論会ーー公共交通無料化に関する討論会

20190109 旅客近距離公共交通の無料化という提案に関するメモランダム

0. ドイツのいくつかの都市において、旅客近距離公共交通の無料化という実験が開始されようとしている。
1. 都市内の自然環境の悪化――その原因として動力化された個人交通の増大――他の要因、たとえば工場からの排気ガス等は、削減されている。また、家庭内暖房の多くは、地域集合暖房等に切り替えられており、環境破壊の要素は少ない。
2. 個人交通から公共交通へのモーダルシフト――公共交通が大量交通を本質することによって、交通量の縮減――環境破壊の軽減
3. 旅客近距離公共交通の無料化という衝撃――議論を引き起こす――交通縮減が議論対象になったことは、別の観点たとえばエネルギー浪費の縮減と同様に、好ましい。
4. 旅客近距離公共交通の無料化は、モーダルシフトだけを目的にしていない。
  その歴史――貧困層の移動自由の確保――人権をより強度にする。この目的の一つは、地域経済の活性化にある。しかし、本来、移動できなかった人が、移動の自由を確保することによって何が生じるのであろうか。経済活性化に寄与しない。
  海賊党による提案――公共放送のように、事前に料金を徴収する。
5. モーダルシフトが生じる。しかし、どのような階層であろうか。従来、旅客近距離公共交通の料金の高さによって、歩行あるいは自転車走行を余儀なくされていた階層からのモーダルシフトが生じる。
5.1 徒歩によってしか、買物をしなかった階層を例にとれば、逆に、ベンツ等の高級車を運転していた階層、あるいは運転士付きの公用車を使用していた階層からのモーダルシフトは、生じない。無料化は、これらの階層にとって、無関心である。一日当たり数百円を節約するために公共交通を選択しないという階層しか、公共交通の無料化に関心を示さない。
6. 無料化という選択肢は、別の要素を孕んでいる。移動ではなく、別の目的が混入する。たとえば、麻薬密売人の商行為、あるいは冬場における暖房を取ることを目的にした家なき人々が乗車する。また、筆者がドイツの旅客近距離公共交通において目撃した光景によれば、外国人が公共交通の車両において酒盛りを始めていた。当然、アルコールによる異臭は、車両全体を充満していた。しかも、かなり風呂に入っていないようでもあった。このような光景が
これは、旅客近距離公共交通の質を低下させる。動力化された個人交通から公共交通へのモーダルシフトを阻害する要因になる。
7. 無料化されていない他の公共交通、たとえば自治体によって運営されていない都市高速鉄道の経営を圧迫する。

財源
1. 地方自治体によって運営されている旅客近距離公共交通は、地方税の増大。国家、州政府からの援助
2. 運営費用が増大し、税金がそれに対応しなければならない。国税であろうと、自治体の税金であろうと、州の財源であろうと
3. 旅客近距離公共交通の改善、たとえば路線の延長、車両の増大、運行間隔の短縮化、車両の快適性の拡大には、向かわない。
4. 旅客近距離公共交通の運営者の賃金が抑制される。交通技能の減少、研修機会の減少によって、交通事故が拡大する。モーダルシフトが実施されにくくなる。

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