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ベルリン旅行者(三)ーーベトナム人と日本人

20170803、20181103 まとめの記事を作成するために、日付を変更した。

20140309 数年前のブログ記事を編集上の観点から本年に移行する。 

20070923 ベルリンのホテルーーベトナム人労働者

 ベルリンのホテルで目につくのは、もちろん外国人ではなく、ドイツ人である。しかも、年金生活者である。彼らが圧倒的である。この年金生活者の問題を除外すれば、近年増大しているのが、(ラオス人等を含む)ベトナム人である。ここではインド支那半島出身者という意味で用いている。彼らは、10年前には、中級ホテルではほとんど目につかなかったが、最近では欧州国内、及び母国から団体で、あるいはビジネスとして、大挙して進出している。

 その理由として彼らの経済状況の好転を除外すれば、欧州、とりわけドイツ、オランダ等で外国人差別が少ないことが挙げられる。もちろん、民族主義的排外主義は日本も含めてどこでも見られるが、少なくとも公共的圏域において彼らが排除される機会が少ないこともその原因の一つであろう。

 さらに、事態をより複雑しているのは、1989年のベルリン革命以前において旧東独、旧東欧に住んでいたベトナム人の問題である。彼らは革命以後、本国に召喚されたかもしれないが、社会主義政権下のすべてのベトナム人が本国に帰還したわけではない。そして、その子弟が現在20代、30代の若い労働者として活躍している。彼らは、幼少、小学校、中学校からドイツで学び、彼らと同一の教育を受けている。親の世代とは異なり、ドイツ語もほど不自由なく喋れる。そのようなベトナム人が増えている。そのなかで、経済的に自立した階層が出現するのも当然である。

 しかし、多くの日本人は大学、大学院から留学している。彼らとは幾つかの点で、異なっている。日本人が専門知識という観点からドイツ人とほぼ同一であるとしても、生活者という観点では多くのベトナム人に敵わないと思われる。とりわけ、電子情報に疎い老齢の日本人研究者は、大学の施設の利用自体が困難である。入館すら、パスワードを使用しなければならない。やっかいな時代が到来した。インド支那出身者あるいはインド支那系ドイツ人は、我々日本人よりもこの点において明らかに優越している。

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