ベルリン旅行者(二)ーーホテル事情ーー事柄の不可視性
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する。 20070918 ベルリンのホテルーー星についてーー事柄の不可視性
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20070909ベルリンのホテルーー安い4つ星ホテル?ーー事柄の不可視性
航空運賃価格は正規料金の場合、異常に高い。ベルリンー東京往復で60万円近くするはずである。しかし、多くの旅行者は高い時期でも20万円以下で、閑散期であれば10万円以下でエコノミークラス座席を確保できる。10万円であれば、正規料金のほぼ六分の一である。成田発、モスクワ経由、東ベルリン行きであれば、往復で8万であった。2月という閑散期であれば、8万であった。 このような価格落差は、通常の商品であれば、ありえない。たとえば、日産の同一車種の新車自家用車の販売価格が、隣の店では、半額以下であるとは、誰も考えていない。せいぜい、数万円の値引きしか期待できない。
この航空運賃と同様なことが、海外ホテルの宿泊料にも当てはまる。直接購入すれば、3万円以上の料金のホテルの部屋が、代理店経由であれば、1万円位で入手可能である。インターネット取引による数パーセントの違いなど、ここでは問題にならない。直接取引では、かえって高くついてしまう。代理店経由であれば、かなり安価に購入可能である。おそらく、一括してホテルの数室を押さえているのであろう。航空機の座席販売と同じ論理が貫徹されている。大口顧客に対しては、安く売るからである。
本当の値段という概念がここでは、ほぼ崩壊している。適正価格という考えも同様である。すべては、市場の論理が貫徹しているだけである。問題は、この論理と日常論理がかなり乖離していることである。そして、多くの素人にとって、市場論理とは疎遠なままである。ただ、この論理によって、多くの日本人が欧州を安価な価格で旅行できる。しかし、この論理を多くの人は知ることがないというのも事実である。
逆も真なり、もありうることは、肝に銘じていなければならない。
4つ星ホテルがかなりサービスの点で優れていることは、言うまでもない。ただ、非常に優れている点は、ベッドの大きさにある。多くの4つ星ホテルは、かなり大きめのベッドを用意している。それに対して、3つ星ホテルの場合、かなり狭いベッドを提供している場合も多い。これは、経験上の事柄であり、必ずしもすべてのホテルに当てはまることではない。
星の数の少ないホテル、あるいはそもそも星の対象にならないホテルのベッドが狭いともいえない。かつて宿泊したフランクフルト郊外のヴィースバーデンのホテルは、1泊3000円程度であり、風呂もなかった。トイレすらなかった。トイレは廊下の奥にあり、共同で無料で使用していた。ただし、天井は高く、ベッドも広いし、部屋も広かった。おそらく、星の対象外のホテルであったかもしれない。しかし、そのホテルを非常に気に入っていた。数週間宿泊したにもかかわらず、文句を言った記憶はない。数日後には、有料のシャワーを使用できたこともあり、かなり満足していた。おそらく、戦前の大富豪の豪邸をホテル経営者が買い取り、安く提供していたのであろう。
もっとも、3つ星ホテルは、ほとんど風呂タブはない。シャワーだけである。その空間もかなり狭い。多くの日本のホテルの場合、3000円程度のビジネスホテルであっても、小さなバスタブが附属している。この点は、風呂習慣の西欧と極東の違いであろう。ドイツで困ることは、洗濯物を干す空間が小さいことである。ここで、そのコツを披露しよう。まず、洗面台で下着とワイシャツを手洗いする。干せるまでの状態にしておく。そして、髭剃り、シャワーを狭い空間で済ませる。そのあと、洗濯物を干す。とくに、ワイシャツはぼたぼた水が落ちる。シャワーの空間に水が落ちるようにする。そして、朝起きたときには、ほとんど乾いている。今度は、居住空間に干す。ただ、3つ星ホテルに宿泊したときのベッドの狭さには閉口した。現地通貨で直接支払えば、2万円以上したにもかかわらず、かなりの不満があった。これは運なのであろうか。それとも、ベッドの大きさを確かめる術はあるのでろうか。ベッドの大きさ以外の点では、さすがに3つ星ホテルであった。朝食は素晴らしかった。しかし、ベッドの狭さがそれを帳消しにしている。
この点からすれば、星の多さと宿泊料金の高さは宿泊の快適性とほとんど関係のないものでしかない。もっとも5つ星ホテルには宿泊したことはないし、これからもないであろうが・・・。
シングルのホテルを予約しても、ツインの部屋をあてがわれることもある。とりわけ、4つ星のホテルの場合が多い。4つ星以上のホテルでは、そもそもシングルの部屋が少ないからであろう。その場合、部屋は分不相応の広くなる。王侯貴族のような気分になる。5人用のソファがある。クローゼットには、100着の衣類を収納できそうだ。灰皿も、5つもある。トイレに1個、小さな机に1個、大きな机に1個、洗面所に1個、トイレに1個ある。もっとも一人しか宿泊しないので、ほとんどの灰皿が綺麗なままである。いつも、新しい灰皿を使用できるのは、快適である。毎回、数本のたばこをすい、新しい灰皿と交換する。
このような幸運に出会えるのは、4つ星以上の高級ホテルか、星のないホテルである。3つ星、2つ星の中級ホテル、ビジネスホテルではありえない。そもそも、シングルの客しか想定されていない場合が多い。倹約旅行か、少し余裕のある場合にのみ、このような幸運に出会う。
それは、多くの素人の場合、ホテルの経営状況まで把握できないからだ。おそらく、年に100日以上もベルリンに滞在する人は、稀である。多くの旅行者にとって、数日の滞在期間しかない。
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