ベルリン旅行者(一)ーー豚肉とイスラム教徒
20140309 数年前のブログ記事を編集上の観点から本年に移行する。
20070904 ベルリンのホテルーー豚肉とイスラム教徒ーー差別? ベルリン、そしてドイツはハム、ソーセイジの本場である。世界的に有名なハム、たとえばシンケン、ザラミ等の名称は、ほとんど日本語になっている。このような著名なハムの多くは、豚肉から作られている。この豚肉を忌避しているのが、イスラム教徒である。敬虔であるなしにかかわらず、彼らは豚肉、及び豚肉から作られたハムを見ることすら、忌避している。たとえば、日本人は豚肉に対してアレルギーはないが、ウサギの肉、蛇肉に対してあまりよい印象を持っていない。たとえば、食事のメニューに蛇肉しかないレストランには、あまり行きたがらないであろう。悪魔の食べ物という印象がある。
このような食事に対しては、各国の習慣、宗教的事情が絡んでいる。ベルリンの中級、高級ホテルでも事情は複雑である。多くの世界からの旅行者は、ベルリンのホテルでハムを食べる。そして、多くのホテルは宿泊客に対して朝食をかなり安価でふるまっている。しかし、その肉類、ハム類の多くは、豚肉から作らている。本当にうまい。
しかし、多くのベルリンの中、高級ホテルの朝食の場所で、イスラム教徒をほとんどみかけることはない。もちろん、五つ星のホテルには宿泊したことがないが・・・。これは、差別であろうか。イスラム教徒は豚肉追放運動をすべてのホテルに要求することができるのであろうか。そのような要求は、滑稽である。ベルリンのホテルの朝食から、全ての豚肉製品をなくすということは、ドイツの文化を無くすることである。そのようなホテルの朝食をイスラム教徒が忌避するだけである。逆にいえば、ベルリンのホテル業者は、イスラム教徒の宿泊客を減少させている。結果として、イスラム教徒はホテルで朝食をとることはほとんどない。この結果を彼らは、別に悲しんでいるようにはみえない。
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