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20170622 『函館新聞』掲載――富山市の路面電車ルネサンスにおける残された課題

路面電車ルネサンスの日本版として、富山市の路面電車ルネサンスを研究している。残された研究史として、この交通政策史および都市政策史における国土交通省都市・地域整備局の役割を検討している。その成果の一部を北海道教育大学の市民公開講座として講演した。それが、『函館新聞』(2017年6月23日、14面)に掲載された。記事執筆者は、今井正一である。彼は、2013年6月22日の日独協会における路面電車に関する講演会に関する記事を書いていた。何か御縁を感じる。
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近代の理念の破壊――少数者としての喫煙者への抑圧

  近代は様々な美しい理念を形成してきた。自由、平等、連帯という近代社会の基本的理念を形成してきた。さらに、後期近代にはその美しい理念に加えて、美しすぎる理念を産出した。共生、少数者の権利の擁護等の理念を屋上架屋してきた。たとえば、同性愛者の婚姻を憲法上に認めるというまさに、少数者保護は極限までに進行してきた。
 しかし、そこには選別が働いている。喫煙者という少数者は、初期近代では多数者であった。少なくも、1950~60年代までは、非喫煙者は受動喫煙を蒙ってきた。しかし、かつての少数者は、いまでは多数者になった。とりわけ過去の喫煙者は、多数者であるために、今では非喫煙者を抑圧する。どの時代でも、彼らは多数者であり続ける。
   ここで、少数者の権利つまり喫煙の権利は、保護されない。少数者は保護されない。理念上の共生は、強制に通じる。まさに、反対物に転化している。後期近代の美しい理念を唱える多数者は、現実社会において少数者を弾圧する。すべての屋内から紫煙を追放しようとする馬鹿もいる。多数者である彼らは、少数者の自由を抑圧することによって、近代の理念そして後期近代の美しすぎる理念を破壊していることに気が付かない。

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巨大組織における個人――大学という組織における素人行政

 渦潮のなかで泳いでいる場合、その潮流に抗することは困難である。しかし、人間はこの潮流が何処からきて何処に流れようとしているのか、認識できない。潮流の流れに身を任せているつもりでも、それに抗している場合もある。逆の場合もある。
 大学行政という場にいると、自分の位置づけは曖昧である。どの部署に属しているかぐらいはわかるが、この部署が大学全体の構造のなかでどのように位置付けられているのかが不明である。昨年までの予算が数万円だったにもかかわらず、今春には数百万円がつく場合もある。数百万円の予算のために企画書を作成しなければならない。今まで月に数千円の事業しかしていなかった組織が、突如として月に数十万円の予算を執行しなければならない。
 国家行政であれば、金銭の単位が億単位になる。内閣府特命担当大臣(地方創生担当)が突如として2014年に出現した。大臣がいるということは、担当官僚が既存官僚組織から出向してくる。若いときからその官庁に所属している官僚はいないからだ。地方創生という名目で予算がつく。当然、予算を執行しなければならない。
 しかし、その能力があるのであろうか。国家行政であれば、出向元の官僚組織で学習した知識に基づいて予算書を作成できる。地方創生という名目をつけて予算案を作成できる。しかし、今まで研究しかしていない教授は、月に数十万円の予算を消化できるのであろうか。文系の教員であれば、見たこともない金額である。全集あるいは古書等の高額図書を購入したり、海外出張をこなしたりすれば、その程度の予算を執行することもある。しかし、大学行政においてそのようなことはできない。あくまでも、教育組織の充実という名目で予算を執行しなければならない。
 どの方向に向かっているのかは、判断停止するしかないのであろうか。大学という巨大組織の存在形式の本質など、末端教授には理解できない。そう、考えないことにしよう。多くの大学教授、そして官僚もそのようにかんがえているのであろう。その結果、地方創生という名目で高速道路を新設し、地方を破壊する。JR北海道の経営危機の本質は、高速道路の拡大にある。無料あるいは無料に近い値段で道路をりようすれば、鉄道での移動は高額にならざるをえない。国土交通省の道路局、北海道開発局の官僚は、そのようなことは考えていない。道路予算を執行するだけである。思想という巨大な意識を考察してきた教授にそれができればよいのであろうが、できるとは思われない。
 ただ、多くの官僚そして教授が判断停止しているという現実を考慮することによって、精神衛生上は良いであろう。

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