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商慣習と銭儲け――正月三が日における百貨店の初売り――追記 伊勢丹三越HDの決定ーー再追記 日本の伝統

本文 20150102
追記 20150907
再追記 20160116
再再追記 20170104

再再追記

本ブログが社会的潮流に竿さすことは少ない。たいていの場合、社会の主潮流と逆の方向を向いている。多くの反体制派のブログと同様である。しかし、日本の伝統的習慣に基づく本記事だけは別格である。三越伊勢丹が、初売りを1月4日に実施するそうである。もちろん、本ブログの影響をうけているか否かは、当事者に聞いて見るしかないであろうが。率直に言って、嬉しい。少なくとも、2015年正月の時点での主張が、認められたことになる。もっとも、この老舗以外の新興百貨店の初売りは、1月2日である。もっと酷い場合は、百貨店であろうと、1月1日に開店している。百貨店は少し高級なものを販売するというイメージがある。そのイメージを自ら破壊している。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170103-00000011-asahi-bus_all


商慣習と銭儲け――正月三が日における百貨店の初売り――追記 伊勢丹三越HDの決定ーー再追記 日本の伝統


 お正月という歳神様を迎えるために、正月三が日は家族でゆっくり過ごすという慣習がかつてあった。せいぜい、近所の親類を訪問するくらいであった。この時期に日本人は、仕事、商売、銭勘定から離れ、身を世俗的欲望から解放しなければならない。三が日には金銭に触れないという慣習も存在した。
 また、肉体的欲望から離れ、神を迎えねばならなかった。初詣も、三が日に行われる。端的に言えば、1年の計を立てるのが、この時期であった。神と対話しながら、瞑想にふける時期でもあった。外国から見れば、この慣習は日本の宗教的行事とみなされている。少なくとも、家族と団欒のときでもある。

 それは、欧州におけるクリスマスに似ている。家族と過ごす休日である。この慣習には、キリスト教徒だけではなく、イスラム教徒も従っている。町全体が静寂性を維持している。クリスマスに営業している百貨店などは、皆無である。馬鹿騒ぎをしている若者も皆無である。
 この時期、会社の同僚や学生時代の友人と宴会、つまり馬鹿騒ぎをするということは、本当に馬鹿げたことである。同窓会ともなれば、遠方で開催されることも多い。地方高校、地方中学校の卒業生の半数以上は、故郷を離れ、東京、大阪等に居住している。逆に、大都市に集中している大学、大学院の卒業生も、同じ都市に居住していることは稀である。家族と離れ、最低でも1泊2日、あるいは2泊3日の旅に出なければならない。三が日に仕事でないにもかかわらず、飛行機に乗る必要があろうか。

 もちろん、三が日にも労働しなければならない人は、稀ではない。社会的に必要とされる労働者も多い。交通機関労働者、警察官、自衛隊員、消防隊員、郵便局員等数え切れない労働者が、働いている。しかし、労働から解放されても、問題のない職種に従事している労働者が、ここで問題にされている。大多数の労働者の生活形式が、問われている。事実上、官公労労働者、つまり市役所、県庁、国家機関における大半の労働者は、この慣習を享受している。年末の12月29日を御用納めと称して、1週間ほどこれらの機関は閉鎖されている。三が日に住民票を取る必要は、全くないからである。

 日本人の精神を知る多くの個人商店主にとって三が日に営業することは、馬鹿げたことであった。御屠蘇気分という言葉があり、酒好きの人は昼間から飲んでもよいという御めでたい日であった。 しかし、1990年代になって、大手スーパー、ダイエーが元旦営業を開始した。経営が危ういからそのようなことをするのだという陰口が聞かれた。その後、他社の大手スーパーがダイエーに追随した。そのころ、老舗百貨店の多くは三が日は休業していたはずである。少なくとも、初売りは3日、4日であった。正月三が日に、銭儲けに勤しむ習慣が、広まった。
 しかし、2015年1月2日現在、ほとんどすべての百貨店はこの日が初売りである。老舗と言われる伊勢丹新宿店、三越銀座店、日本橋高島屋ですら、本日初売りを敢行している。西武池袋店は大手スーパーと同様に1月1日に開店している。デパートの名が泣いているのであろう。本稿によって提起された観点からすれば、西武百貨店は、コンビニエンスストアと変わらない。まさに、下流社会の潮流に、老舗デパートも飲み込まれたしまった。
 正月三が日という商慣習を破壊した大手スーパー、それにほぼ追随している老舗デパート。彼らには、正月三が日くらいゆっくりしたいという日本の慣習は顧慮の対象外であろう。抜け駆けして儲けようとしたダイエー中内社長に追随した。もっとも、ダイエーは倒産してしまった。天罰がくだったのかもしれない。この商慣習は、日本全体の宗教意識に根づいているからである。大規模小売店は歳神様をお迎えするよりも、銭儲けを優先した。そして、日本の宗教的慣習を破壊することに寄与した。

 もし、日本の老舗デパートが1月4日に初売りを敢行すれば、それは話題となるであろう。多くのスーパーマーケットそして百貨店が1月1日、2日において初売りを実施しているなかで、少なくとも三が日は買い物をしないという富裕層にむけて絶好の宣伝となろう。まさに、自己を老舗百貨店として差別化できるであろう。富裕層は三が日に買い物をする必要がない。食料等は年末に買っておけばよいからである。三が日に、慌てて衣類を購入することもない。
 歳末商戦で疲労している労働者の英気を養うことにもつながる。 明日は1月3日である。初売りをする老舗デパートはあるのであろうか。

追記

 『日本経済新聞』(2015年9月7日)によれば、三越伊勢丹HDは2016年から1月3日に初売りをするそうである。少しは、改善されたようである。もっとも、この会社の決定が本ブログによって影響されたかどうかは、定かではない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07IC7_X00C15A9TI5000/ [Datum: 07.09..2015]

再追記

 三越伊勢丹は、2017年から初売りを1月4日にするという。本記事の主張は、世間で無視されるか、あるいは反発をかってきた。しかし、日本を代表する百貨店が本記事に追随することになった。喜ばしいかぎりである。本記事では、日本の慣習として初売りを4日にすべきであると主張してきた。もちろん、この現代企業は、宗教規範に従うということではなく、むしろ労働者の休日を確保するという主張に基づいている。しかし、単なる休日の増加であれば、正月に拘る必要はない。2月でも、3月でも3連休をすればよいことである。正月三が日という伝統的風習を復権するということに、意義がある。
 ネットでは、このような主張はどのように評価されているのであろうか。しばし、ネット右翼が批判の対象になっている。三越伊勢丹の決定における日本の伝統を守るという意義は、右翼からも称賛されるべきえあろう。

「『三越伊勢丹』17年から初売り1月4日 労働環境を改善」『毎日新聞』2016年 1月16日 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160116-00000006-mai-bus_all

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