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人間的理性による世界把握と世界変革(その二)――他者への期待はほぼ実現しない

20150214 人間的理性による世界把握と世界変革(その二)――他者への期待はほぼ実現しない

他者の言行を自分の基準に変更すべきである。以前、他者にある依頼をしたことがある。私の依頼は、他者の基準とその能力に変換される。私の依頼が完全に理解されることはない。同様に他者の依頼を完全に満たすことは、しない。完全を希求するがゆえに、イライラの原因になる。そもそも自分の能力を超えた依頼に対応することはできない。自分の言語に変換して、対応するしかない。ここでも、重要なことは完全への希求である。これは近代の病理に属するのかもしれない。           
 かつて引越をしたことがある。このごろはすべてお任せが、基本である。CMによれば、以前と同じような生活が転居先で可能であると謳われている。しかし、間取りも、位置も異なる二つの部屋において、同一の生活が営まれることはない。完全性への希求がある。もちろん、電化製品はほぼ同一規格であることは可能だ。それは、実験科学の領域に属している。しかし、人間は同一の事柄を実現できると考えない方がよい。自分と同一の前提で他者が行動すると考えないようがよい。
 この事柄は、親の子供に対する期待において典型的に妥当する。親の希望とおりに行動する子供はいない。とほほ。

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