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防災専門図書館あるいは専門図書館の存在ーー後期近代における素人市民に対する有益な情報提供

20141109 防災専門図書館あるいは専門図書館の存在ーー後期近代における素人市民に対する有益な情報提供

 『日刊ゲンダイ』が最近、専門図書館に関する記事を連載している。この連載記事は、都内にある専門図書館を網羅的に取り扱っている。そのなかで、防災に関する専門図書館が掲載されている。 この専門図書館の存在は、より社会的に認知されてよいであろう。
 この図書館には、市町村単位での防災情報が満載である。地震、洪水等が起きやすい地域がほぼ完全に認識可能である。地方自治体単位で危険度が明瞭である。また、明治初期における集落情報も収集可能である。洪水の危険度の高い地域であっても、日本人は伝統的により安全な地域に集落を形成してきた。
この情報があれば、平成26年8月における広島土砂災害における悲劇は防げた。事実,大規模な土石流が発生しても、明治以来あるいはそれ以前からあったと推定される地域、たとえば神社仏閣の類はほぼ無傷であった。昭和後期あるいは平成に建設された住宅地の多くが、この被害にあった。
 この悲劇を繰り返さないためにも、防災専門図書館は有益であろう。一般的に言えば、専門図書館の有益性は下記の点にある。

1. 専門図書館には限定された情報しか存在しない。専門図書館を訪問する市民は、数時間しか滞在できない。しかも、専門図書館の多くは、平日の17時閉館である。土日は閉館である。このような限定された時間に図書館を訪れることは、一般市民にとってかなり困難である。収蔵資料は、限定されているほうが有益である。

2. 全国の各市が共同で設置した公益的法人、全国市有物件災害共済会によって、防災専門図書館は運営されている。利用料は無料である。今後公共図書館が有料化されても、最後まで無料運営が継続されるであろう。ちなみに欧州最大の図書館の一つ、ベルリン国家図書館は入館料を徴収している。年額30 Euro(約4500円), 月額12 Euro(約1800円)である。  このような図書館有料化の傾向は、新自由主義によって強化されるであろう。

3. 専門図書館の司書は、図書館の司書資格を持っているだけではない。その分野の専門家でもある。防災専門図書館でも、専門的知識を利用者に提供している。事前に訪問趣旨を告げていれば、的確な書籍、資料を取り置きしてくれる。

4.問題点は、専門図書館の多くが東京にしかないことである。地方在住者にとって上京することが、そもそも困難である。防災専門図書館の利用者も年間1000人を超えることはないと言われている。それだけ、有益な情報が市民に提供可能である。

5.高度に専門化した後期近代は、専門家と素人を媒介にする機関を必要としている。専門図書館はまさにこの役割を果たす。

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