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動物の解体という労働の原初的風景――白土三平『鬼涙』

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白土三平「鬼涙」白土三平『鬼涙』小学館2000年、292-293頁

動物の解体という労働の原初的風景――白土三平『鬼涙』

 この場面は主人公が勇猛な猪を殺害する個所である。ここに労働の原初的風景が現れている。自然(猪)を人間が利用しやすい形態へと転換する場面である。まさに、血と汗と技術の結晶として労働が描かれている。この労働現場に対して、やくざが介入しようとするが、この場面をみて、腰が引けるというあらすじである。この労働現場に対して、どのような権力、動物愛護家も介入できない。

 しかし、現代の労働現場、たとえばパソコンに向かう事務員の労働現場には、このような他者の介入を許さないような神聖性は消滅している。おそらく、動物解体業もおそらく、より合理化され、返り血を浴びることもないであろう。神聖性を喪失した現代の労働現場にどのような職業意識を構築するのかが問われている。

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