« 日本官僚制の問題点ーーいしいひさいち役人論(馬鹿組織) | トップページ | いしいひさいち官僚制論(その三)――官僚機構における減点主義 »

いしいひさいち官僚制論(その二)官僚機構における多数決原理の非適用――いしいひさいち『鏡の国の戦争』

いしいひさいち『鏡の国の戦争』潮出版、1985年、76-77頁 Ⓒいしいひさいち(2006.9.15

War_2

 

 
クリックすると拡大します。この漫画の面白さは以下の点にある。それは、軍隊に多数決原理が導入されていることである。この原理の導入は想定不可能である。将校と兵隊の数は、通常、兵隊の数が多い。もし、軍隊という命令組織に多数決原理を導入すれば、軍隊という組織が崩壊するであろう。多くの兵隊は、徴兵された存在であり、戦意は将校に比べて低いからである。もし、多数決原理が導入されれば、戦争そのものが否定されるであろう。民主主義という原理は、命令組織には導入されない。もし、導入されれば、前線で生命を賭けて戦うのは、将校のみになるであろう。その架空の設定をこの漫画は採用している。あるものの本質とは異なる要素を当該概念に導入することによる面白さである。もちろん、いしいは、当該概念、ここでは軍隊の本質を把握しいている。その本質とは正反対の理念を導入することによって、その概念を鮮やかにしている。

なお、命令組織は軍隊に限定されていない。名目的にはすべての官僚組織に妥当する。また、官僚組織に比肩する強度を誇る営利企業の組織にもあてはまるであろう。そこにおいて、民主主義の原理、多数決原理は適用されない。

政治的領域において、多数決原理が適用される領域はかなり少ない。被選挙者間における平等性が前提になる領域でしかない。況や、社会的関係、家族的関係においてこの原理を導入しようとすることは、無謀という誹りを免れない。この原理が妥当する領域は、限定されねばならない。

(本記事の作成にあたり、いしいひさいち事務所様には大変お世話になりました。誌して感謝申し上げます)。

|

« 日本官僚制の問題点ーーいしいひさいち役人論(馬鹿組織) | トップページ | いしいひさいち官僚制論(その三)――官僚機構における減点主義 »

アニメ・コミック」カテゴリの記事