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学校という官僚組織における病根

20140526 学校という官僚組織における病根――

校長による学校における命令組織の強化 ? 安本寿久「学力低迷の戦犯は「民主的」学校組織だ 校内なれあい人事選挙が示す病根」『産経ニュースWest』2014年5月25日 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140525/waf14052507000002-n3.htm [Datum: 25.05.2014]

 安本氏は、学力低迷の原因を学校における「なれあい人事」に求めている。戦後確立された「鍋蓋(なべぶた)型組織」に求めている。この組織類型によれば、校長、教頭以外の教諭は、平等であり、相互に介入しない。彼は、このような組織類型に対して、校長により権限を与えた命令組織を対置している。 しかし、物事はそれほど単純ではない。校長がこのような組織において出世できたのは、その鍋蓋組織と同じ感性を保持している場合が多いからだ。前例主義が貫徹されていることによって、彼は校長たりうる。つまり、「新しい仕事をしない主義」である。

  「休まず、遅れず、働かず」という感性は、どのような官僚組織であれ、貫徹されている。もちろん、この「働かず」は、自分に与えられた以上の仕事をしないという意味である。この原則は官僚組織を基礎づけているし、優位性を持っている場合も多い。組織が上昇気流に沿っている場合、むしろ余計なことをしないほうがよい。しかし、組織が傾いているとき、あるいは泥沼状態にあるとき、この感性は致命的になる。

 この記事において、「新しい仕事をした場合、管理責任を誰が担うのか」という問題が提起されている。このような批判が「出る杭」に与えられる。新しい仕事を提案するものは、このような批判に対して無力である。この感性が是正されないかぎり、校長による命令組織を鍋蓋組織に対置しても、意味がない。校長自身が出る杭を打つことによって、校長になったからだ。 民主的組織に命令組織を対置しても、無駄であろう。事態はより悪化する。

 校長の任期の数年間を無難にこなすことこそが、校長に求めてられている。校長にとって最悪の事態は、年金と退職金の減額措置である。 このような官僚組織における病理を治療することはできるのであろうか。官僚組織にその自浄作用を求めることができるのであろうか。

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