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日本官僚制の問題点ーーいしいひさいち役人論(馬鹿組織)

 この漫画は、現代社会における官僚制、あるいは官僚化した組織を揶揄している。問題は、このような重臣が決定権を保持していることにある。有職故実しか興味のない人間が、なぜ重臣になったのか、この問題こそが問われねばならない。彼らは、戦闘の場における業績を積んだわけではないはずだ。有職故実に業績を上げた人間である。このような人間を組織の上部においたことに問題点がある。危機に対応できない。彼らは政治家のような世界全体像を持たない。全体的視点を放棄した近視眼的人間しか、組織的には用がない。

 現代の役人組織においても同様である。誤植のない文章が書ける人間、退屈な会議が好きな人間が重宝される。誤植の指摘を生き甲斐にしている人間が部長、課長等の要職に就く。漢字を読み間違えたら、減点の対象である。つまらない人間が上に立つほど、組織にとって不幸はない。現代社会における有職故実は、江戸時代と同様に、規則であり、前例であり、横並びの知識である。この観点からすれば、現代社会の役人と、落城寸前の御前会議における役人の間には、差異はない。

 会議という時間が限られている以上、つまらない事柄に時間を割けば割くほど、重要な問題は議論されない。重要な問題は存在していないかのようにふるまう。本当の馬鹿は、自分が書いた文章を読み上げる。日本語で書かれた文章をなぜ読み上げる必要があるのか。議論を封じるためである。

 組織は組織の維持、管理が自己目的化する。なんのための組織であるかが忘却され、管理に強い人間が出世してゆく。営利企業であれば利益を上げる営業畑の人間ではなく、総務畑の人間が出世してゆく。同僚と仲良く喧嘩せず、という人間が頭角を現す。警察機構においても、犯人を捕まえることに執着する人間ではなく、法律と規則に通じた人間が出世してゆく。何時までも犯人逮捕のために靴底を減らしている人間よりも、試験に長けた人間が上司になる。現場の人間よりも、試験勉強が好きな人間が重宝される。

 役人化した組織は、崩壊の危機に陥っている。しかし、当人たちには気がつかないところに問題がある。

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