隠された意図――国策
4. 国策の隠蔽――別の前提A2 あるいは別の結果C2の広報
国策は、その明晰性を国民に与えることはない。もちろん、その隠された意図を明示することもある。しかし、それは稀である。ある国策は、その行為によって国民あるいは地域住民の犠牲をもたらすからだ。ここで、国民あるいは地域住民という概念を分離したことは、大きな意味を持つ。前者の利益は、後者の不利益である場合が多い。また、支配階級の利益C2、高級官僚の利益C3を隠蔽し、別の利益C4 を広報することもある。たとえば、消費税増税は、輸出企業にとって濡れ手の粟である。輸出製品に対する消費税は、輸出企業に対して還付される。必ずしも、国民すべてに公平に負担を強いるわけでもない。消費税増税は、輸出企業にとってまさに天恵である。
5. 国策――地方都市の併合――平成の大合併
平成18年の平成の大合併によって、多くの町村が消滅した。「1999年(平成11年)3月末に3,232あった市町村の数は、2006年(平成18年)4月には1,820にまで減少した」。(「日本の市町村の廃置分合」『ウィキペディア』20131212閲覧)
この市町村合併によって、多くの町村が周辺の都市へと合併された。明治以来の伝統を持つ村、たとえば赤城村も地理上から消滅した。この村において過疎化が進展することは、不可避であろう。小さき地域は、大きな都市へと吸収される。この地域は過疎化を加速させる。それはほとんど社会問題化することはない。少なくとも全国水準の周辺を中心に統合することによって、効率的な行政が可能になる。効率性が向上することによって、少数者の存在自体が抹消されるのかもしれない。
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