東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染に関する日本における食品安全基準の曖昧化――暫定的基準の曖昧性による風評被害の拡大――暫定的基準の廃棄ならびに国際基準への復帰
20110413 東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染に関する日本における食品安全基準の曖昧化――暫定的基準の曖昧性による風評被害の拡大――暫定的基準の廃棄ならびに国際基準への復帰
食品(牛乳等)における2011年3月17日以前の放射能基準は、セシウム137;10ベクレル/1Kg、ヨウ素131;10ベクレル/1Kgであった。 1 しかし、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の3月14日、15日の第1号機、第3号機等の大爆発事故を受けて、3月17日以降から食品(牛乳等)の暫定的放射能基準は、セシウム137;200ベクレル/1Kg、ヨウ素131;300ベクレル/1Kgになった。 2 実に20-30倍に暫定基準値は引き上げられた。それに伴い野菜、魚等におけるヨウ素131の含有量も、基準値;100ベクレル/1Kgから、暫定基準値;2000ベクレル/1Kgに引き上げられた。
このような暫定基準値の曖昧化は、従来から踏襲されていた基準値の意味と有効性を破壊している。少なくとも、国際的基準が設定された意味を破壊している。そして、国民の多くがこのような暫定基準と国際的基準との乖離を知ることになった。これでは、暫定的基準に対する国民の信頼性は、乏しい。ある食品が暫定的基準値以下であるという政府発表に対して、多くの国民は疑心暗鬼に陥らざるえない。暫定基準値以下でも、国際的基準値を超えているのではないか、という疑念である。このような2重基準があるかぎり、食品の安全に対する風評被害を根絶することはできない。
1.http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
(203-204ペ―ジ)
2. http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
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