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討論会ーー路面電車に関する討論会

路面電車に関する討論会を開催します。締め切りは12月2日です。コメント欄に貼り付けてください。(11月16日)

興味深いコメントありがとうございます。意義あることなので、しばらく締め切りを延長します。(12月5日)さしあたりの締め切りを平成23年1月末とします。

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討論」カテゴリの記事

コメント

  パリの公共交通の中でもトラムと呼ばれる路面電車について報告します。パリのトラムは、メトロ(地下鉄)やRER(急行鉄道)、バスなどと並び、フランス首都圏の重要な公共交通機関の1つです。現行の路線はT1、T2、T3、T4と表記され、現在はこの4つの路線が走っています。その中でもT3のみパリ市内を走り、他の3つはパリ近郊を走っています。トラムの歴史は古く、メトロが整備される以前の1855年からパリの公共交通機関として活躍していました。現在パリ周辺を走っているトラムは1992年から運用された比較的新しいものになります。実際には今でもいくつかの計画が進行しています。
パリ市内を走るT3(3号線)は、トラムウェイ・デ・マレショーと呼ばれ、2006年12月に運行が開始され、パリ市最南端の一般環状道路の上に敷設された軌道を走っています。南東部にあたる13区中華街のポルト・ディヴリーから南西部にあたる15区のガリリーノ橋までの区間を結んでいます。T3運行当初は、一日約10万人の利用客が見込まれていました。T3の運行により、一日約26万人の利用客を運んでいるメトロの利用客を分担することにつながったそうです。また、現在では10万人と見込まれていた利用客よりも多くの人が利用しているとHPに記載されていました。このようなことから、T3は都市の機動性を改革・向上させ、人々が生活しやすい状況をつくることに成功したといえます。
パリのトラムも函館にある市電同様に、道の真ん中にあり、歩道のようになっているところに人々が市電を待っています。函館の市電とパリのトラムで違うと感じたのは、乗り込むときに階段や段差がないことです。函館も何台かはバリアフリーの市電が走っていますが、パリのトラムはすべてがバリアフリーになっています。身体が不自由な方や小さな子供でも利用しやすく、安全だといえます。
さらに現在では、物資の輸送とパリの人々の人生をセットと考え、川岸の都市に住む住民にも利用しやすく、また郊外の輸送を単純化して、公共輸送機関のネットワークの改善などを行っています。輸送の単純化することで、大気汚染などの地球温暖化も軽減されるといいます。大気汚染の軽減やアクセスしやすいネットワークの改善で、トラムの路線近くに住む住人に対してだけではなく、パリ全体の経済発展にもつながっています。そして、なによりトラムは、パリの景観を壊さない、パリの街並みに合わせたデザインと機能を兼ね備えているといえます。
また、トラムはパリの住人だけではなく、観光客にも必要な交通手段です。T3の運行するにあたり、一日16万人の観光客の利用が見込まれていました。またその他の路線においては11万人の観光客が利用しています。合わせて27万人の利用客は、東京の上野駅を一日に利用する人数とほぼ同じくらいです。このことから観光でパリに訪れる人々にとっても重要な公共交通機関だといえます。
そして、トラムはこれからまだまだ延伸・再構築がされるみたいです。T3は2010年にプラットホームを作るため工事が着工されました。また、パリの東側すべてにトラムが走れるよう再構築することが決まっています。2012年までによりモダンで美しい地区にするべく、着々とトラムは活躍の場を広げています。

投稿: 唯一無二 | 2010年12月 2日 (木) 15時09分

ウラジオストクでは、路面電車(トランバイ)はトロリーバスとバス(アフトブスと呼ばれる)に並ぶ重要な公共交通機関になっており、ウラジオストク駅を起点に市内を走っていた。この街に路面電車が導入されたのは1912年であり、それ以来街の風物詩として市民に親しまれてきた。その坂の多い美しい町並みに『東洋のサンフランシスコ』と形容されることもあった。通常は2両編成で運行しており、ほとんどの運転手は女性である。その運転席は前にしかついていないタイプであり、終点まで着たらラボチャヤと呼ばれる駅で折り返し、ループしてまた運行する。日本で言う優先席のようなものは存在しないものの、お年寄りや妊婦に席を譲るのは当然のマナーであると認識されている。この路面電車は誰でも無料で利用でき、市民の重要な移動手段であった。これはしかし2003年に有料化され、一律7ルーブル(20円くらい)になった。このため市内にいくつか存在するトロリーバスと路面電車が重複している路線では、先に到着した路面電車を見送ってでも無料のトロリーバスに乗ろうとする人も見られるようである。
 2009年7月、同市市長のプシカリョフ氏がウラジオストク市内の路面電車の廃止を発表した。同氏によるとこの決定の主な理由は、自家用車の普及による交通渋滞や事故の防止や老朽化した車両が多いため、その維持費がかさむこととしている。この決定の後すぐさま線路の解体作業が行われ、2010年春に解体が完了する予定となっている。9路線あった路面電車は現在では観光用に僅かに2路線が残されており、市民の今後の移動手段としてはバスを導入するとしている。これに対し市民や専門家からは反対の声が多く上がっており、中には環境保全の視点からロンドンやの路面電車復活・延長などの動きに注目し、「ウラジオストクのイメージダウンに繋がるのでは。排気ガスが出ないことで世界に注目されているのに。」といったような声も聞かれる。また、路面電車を廃止にしてもバス路線が増えるのであれば交通渋滞を緩和するどころかさらに重い渋滞を引き起こすのではないかとの声もある。

投稿: 貧乏旅行 | 2010年12月 2日 (木) 14時28分

【平壌の交通について】
 平壌の交通機関は、鉄道、自動車、トロリーバス、路面電車、地下鉄、船舶および航空機からなっている。市民の足は、地上では公害のないトロリーバスと路面電車を基本とし、これにバスと乗用車が加わる形態だという。地下鉄は、交通量の特に多い2つの交差したラインからなっている。(資料③⑥)
【平壌市電について】
平壌市電とは、日本統治時代の朝鮮の平壌府で運行されていた路面電車、及び朝鮮民主主義人民共和国の首都、平壌直轄市において運行されている路面電車のことである。(資料④⑦)
【平壌の市電の歴史について】 
もともと、日本統治時代の朝鮮には、釜山・京城(現、ソウル)・平壌の3都市に路面電車が存在した。しかし釜山は1968年5月、ソウルは同年11月に戦後のモータリゼーションの発達で全廃され、朝鮮半島北部唯一の路面電車であった平壌も、1951~53年の朝鮮戦争で破壊され、そのまま廃線となった。このため1969年以降は長らく朝鮮半島に路面電車は存在しなかった。その後の平壌では、一般市民が自動車を持つ事が思いもよらない国であり、石油も中国・ソ連からの輸入が殆どで、その多くが軍事用に回されていた為、公共交通機関としては電気を使う無軌条電車(トロリーバス)と地下鉄(平壌地下鉄)が一般的となっていた。しかし、混雑が激しいため無軌条電車より多くの客を輸送できる交通機関として、「軌道電車」(ケドチョンチャ)の名で路面電車が敷設されることになった。
1991年に初の路線が開業し、現在3系統の路線が運行されている。運賃は2006年現在5ウォンとなっており、無軌道電車と共通運賃制が採用されていて、回数乗車券(市内車票)もある。しかし、1990年代後半から発電所の老朽化と資源不足のため停電がよく起こり、運行が安定しなくなっている面も多いとされる。それでもここ数年は、電力事情が徐々に改善されてきているため、一時ほどの混乱はないようである。また2003年には、大同江に架かる橋梁が老朽化したこともあり、1号線の平壌駅前~船橋間が廃止されたりしている。なお、外国人旅行者は長らく乗車する事が出来なかったが、近頃ではツアーに組み込まれるなど開放されつつある。車両はチェコのタトラ製であり、製造時期によって様々な種類があり、低床式の車両も存在する。(資料①②⑤⑧)
また、金日成の遺体の安置された錦繍山記念宮殿に向かう参観客のため、同宮殿へ向かう専用路面電車が存在する。これは他の路線とは全く接続しない独立路線で、運賃は無料、軌間は他の路面電車が1435mmの標準軌なのに対し、1000mmの狭軌になっており、車両もタトラ製でなくスイス製である。また1999年には、清津市にも路面電車が開通した。
午前中、午後、夕方、どの時間帯も、道路を走る路面電車などの交通機関は、おおかた満員の状態で、多くの平壌市民が乗車していた。平壌市内の道路脇には、トロリーバスの乗り場を随所に見かけた。トロリーバスの乗り場には、多くの市民が、バスの到着を待ち受けている様子だった。平壌の交通機関、路面電車、トロリーバス、地下鉄の料金は、区間に関係なく一律、大人は5ウォン、子供は2ウォンだという。平壌には地下鉄、路面電車、トロリーバスがあるが、観光客が利用できるのは基本的に地下鉄のみである。(資料⑨⑩)

投稿: 富国強兵 | 2010年12月 2日 (木) 14時26分

~スイス・ベルンの都市内交通~

 現在函館に住んでいる私たちにとって路面電車は身近な存在であるが、地域に密着した性格が強いために、日本ではメジャーな公共交通機関とは言い難い。しかし、ヨーロッパ諸国において、路面電車は公共交通機関としての地位を確立しており、利便性だけではなく、環境や商業の視点からもこれからの発展を見込まれている。
 スイスの首都・ベルンもその例外ではなく、国内外に通う鉄道や路面電車とともに発展してきた都市のひとつである。ベルンは中世の街並みをそのまま残した旧市街で、街中を流れるアーレ川と交差するように路面電車の軌道が走っている。世界遺産に指定されている旧市街を通る路面電車は、中世から残る噴水や時計塔を避けながら走り、見事にベルンの街並みや人々に溶け込んでいるのがわかる。時計塔の下を路面電車が通り抜けた先は、歩行者と路面電車のみが行き交う通りになっており、歩行者や路面電車を乗り降りする人々は自動車の激しい交通にショッピングを遮られることなく、安心して買い物を楽しむことができる。いわば、商業を活性化させる触媒のような存在であるといえる。
 また、自然環境の保全・改善、大気汚染公害を見直す観点からも再び路面電車にスポットが当てられた。自動車の排気ガス等による、地球温暖化の問題や大気汚染による呼吸器系の病気の問題を大事としたヨーロッパ諸国は、環境ゾーンという質の良い排気ガス除去フィルターを搭載した自動車しか乗り入れが許可されない区域を設定することを決めた。その環境ゾーンをスイスの都市も将来的に導入するという。その問題を解決してくれるのは路面電車となり得るだろう。乗車定員は自動車やバスよりも多く、電気で走る路面電車は排気ガスの心配とは無縁である。スイスの救世主となる日は近いのではないだろうか。
 ヨーロッパ諸国が高齢化社会に陥っているのは周知の事実であるが、スイスもまたその域を出てはいない。幅広い年代の人々・様々な障害のある人々が利用する公共交通機関である路面電車は、利便性・公共性も必要とされる。ベルン市内を走る路面電車は、低床車で車内も広く、子どもや高齢者だけでなく、体の不自由な人々にも優しい作りになっており、必要なものを備えているといえる。
 ベルンは人口13万人とさほど大きな都市ではない。そのため都市部のほとんどに軌道が走っており、分岐するところもあるがそのすべてがループする格好である。それゆえ定時性を保ちやすく、市民に安定した公共交通を提供している。
 これらのことから、ベルンにおいて路面電車は人々の生活に根付き、必要不可欠なものになっていると言って相違ないだろう。

投稿: 珍珍電車 | 2010年12月 2日 (木) 14時22分

スペインのマドリードは、公共交通機関が発達している地域である。なかでも、地下鉄とバスはマドリードの公共交通機関の中核を担っている。
マドリードの地下鉄は、スペイン、マドリードで営業している地下鉄である。マドリードの地下鉄は282キロメートルの路線に231の駅がある。この地下鉄は、マドリードの移動には最も速く経済的な移動手段である。マドリードの地下鉄はほぼ市内全域をカバーしているだけでなく、近郊都市までカバーしていることから、ヨーロッパでも有数のネットワークを誇っている。現在、12の路線と、30キロメートルほどのライトレールである3つのメトロ・リヘロ、そしてオペラ駅とプリンシぺ・ピオ駅をつなぐ支線Ramal(R)線がある。路線はすべて色分けされ、地下鉄駅構内の色と地下鉄マップの色が同じくなっているため、とても分かりやすくなっている。このメトロのおよそ92パーセントが地下を走行し、少数だが地上を走行しているところもある。地上を走行するのは、5号線のカンパメント駅-エウヘニア・デ・モンティホ駅、10号線のラゴ駅-カサ・デ・カンポ駅、9号線のプエルタ・デ・アルガンダ駅-アルガンダ・デル・レイ駅の区間である。また、メトロに加えてライトレールであるメトロ・リヘロが、非常に費用のかかる地下鉄新線を建設するほど人口が多くないと思われる多くの地域で営業している。ほとんどのメトロ・リヘロの路線は地上を走行しており、道路交通から分離された専用軌道を走行する。しかしながらmL1(メトロ・リヘロ1号線)には地下の区間と地下駅が存在する。(①~⑤)
もともとは、マドリード地下鉄は市域内に制限されていたが、現代ではおよそ3分の1の区間はマドリード市域の外側で運行されている。地下鉄網は次の6地域に分割されている。メトロマドリード(MetroMadrid、ゾーンA)は、マドリード市域内を走行する地下鉄網の核心部分で、全体の3分の2の距離を占める。メトロ・リヘロの1号線を含む。 メトロスール(MetroSur、ゾーンB1、B2)は、12号線と10号線の最後の2駅、ホアキン・ビルムブラレス駅とプエルタ・デル・スール駅、南部のアルコルコン、レガネス、ヘタフェ、フエンラブラダ、モストレスの町を走行する。 メトロエステ(MetroEste、ゾーンB1)は、7号線のエスタディオ・オリンピコ駅からホスピタル・デ・エナーレス駅の間で、コスラダ、サン・フェルナンド・デ・エナレスの町を走行する。 メトロノルテ(MetroNorte、ゾーンB1)は、2007年に開業した、10号線のラ・グランハ駅からホスピタル・デル・ノルテ駅の区間である。マドリード北部郊外とアルコベンダス、サン・セバスティアン・デ・ロス・レイエスの町を走行する。トレス・オリーボス駅で都心側の路線と乗り換えることができる。 メトロオエステ(MetroOeste、ゾーンB1、B2)は、メトロ・リヘロの2号線、3号線で構成される。ポスエロ・デ・アラルコンとボアディージャ・デル・モンテの町を10号線との乗換駅、コロニア・ハルディン駅までを結ぶ。 TFM(ゾーンB1、B2、B3)は、9号線のプエルタ・デ・アルガンダ駅以遠の、マドリード市域を最初に越えて営業した区間である。リバス=バシアマドリードとアルガンダ・デル・レイの町を結ぶ。この地下鉄の運行時間はAM6時からAM1:30までとなっていて、午前中の通勤・通学で込み合う時間帯には2分間隔で運行し、PM0時からは15分間隔で運行している。
また、マドリードには「マドリード市交通社(EMT)」が運営する市内バス路線網があり、ほぼ市内全域を網羅している。地下鉄でカバーできなかった地域にも通っているので、移動にはかなり便利である。このEMTの保有する2022台のバスには、全車両エアコン、自動改札、身障者車椅子昇降機が付いていて、機能は充実している。主要道路にはバス専用車線があるが、ラッシュ時には交通渋滞に巻き込まれることがある。そのような時には地下鉄を利用すれば、より早く移動をすることができる。また、観光客向けの「一週間乗り放題パス」などのサービスも提供していて、観光客の強い味方となっている。(⑥~⑩)
このようにマドリードは、かなり公共交通が発達している地域なのである。地下鉄では市内のみではなく近郊都市まで通じ、人々の移動手段の中核を担っている。地下鉄が通じていない地域にはバスが通ってカバーしている。これらは、マドリードの人々には無くてはならないものになっている。この二つの公共交通機関とともに、マドリードの人々は日々を送っている。

投稿: 報告原稿 | 2010年12月 2日 (木) 14時17分

「ヘルシンキ(フィンランド)の交通機関の概要について-福祉的機能と交通機関の関わりから-」      

フィンランドといえば、学力到達度調査(PISA)の結果において、近年教育の分野で広くの注目を集めていることで有名である。以前他の講義を通して、フィンランドが教育大国と成り得た要因として、福祉面での影響力の大きさを痛感させられた。今回は、その時に学んだ内容を生かし、福祉的機能と交通機関の関わりにおける公共性の形成について、フィンランドの首都ヘルシンキを取り上げて考察することとする。
まずは、フィンランドの首都ヘルシンキの公共交通機関について簡単に説明する。ヘルシンキにおける主な交通機関としては、路面電車・市バス・地下鉄・フェリーなどが挙げられるが、その中でも特に人々の利用頻度が高い交通機関が路面電車である。ヘルシンキの路面電車は、ヘルシンキ市交通局(HKL)によって運営され、ヘルシンキ・トラムという名称で人々に親しまれており、ヘルシンキ・トラムは都心部において非常に重要な交通手段となっている。現在、ヘルシンキ・トラムは8路線12系統で運行が行われている。2009年3月30日からは、カンッピを通る新路線の運行が開始し、3B系統・3T系統が再編された。(具体的には、進行方向によって系統番号が異なる方式から、走行区間によって系統番号が異なる方式に変更された。) 3Bと3T系統の電車は2つ合わせて八の字型の環状線を形成しており、市内の各地を網羅しているので、最適な移動手段となっている。
トラムの運賃に関しては、ドライバーから直接購入可能なシングルチケット(2~2.5ユーロ)を購入した後、一時間以内のトラムの乗り降りや乗り換えが自由にできる。日本の路面電車では、一般に区間による料金指定が為されているが、一方、ヘルシンキ・トラムでは時間による料金指定が為されていることが一つの大きな特徴であると言えるだろう。また、日本の路面電車は各停留所に止まり、車内アナウンスによっても停留場名を確認することができるが、ヘルシンキ・トラムでは、必要のない時は各停留場に止まるということはなく、車内アナウンスもないため車内に表示されている停留場名を予め把握した上で、降車したい場合は手すりなどに付いている黒いボタンを押さなくてはならない。ヘルシンキ市内の範囲でフィンランド鉄道、地下鉄、トラムすべてを乗り降り自由の一日乗車券というものも存在し、運賃は6.8ユーロである。このチケットは最初に地下鉄入口やトラム車内のタッチパネルで時刻を記憶させた後、24時間使用することが可能である。一見、お金を払わないで気軽に交通機関すべてを利用できるように思われるかもしれないが、この支払証明書を持参せずに乗車し、検札に当たったときは、罰金80ユーロを支払わなければならないため注意が必要である。
次に、福祉的機能とヘルシンキ・トラム(その他交通機関も含む)の関係性に視点を置くこととする。ヘルシンキ・トラムにおいて路線の終点は、環状線以外ではすべてループ状になっており、方向転換する必要がなく、結果的に函館市の市電のように車両の前方と後方に運転台を設ける必要性が解消される。このことがトラムの車内空間の有効活用に効果的に働いているといえるのではないか。運転台が1つ少ない分、車内のスペースを広く確保することが可能になるのは明らかであり、車いすやベビーカーの客の乗車及び降車の困難の解消に繋がっているといえる。そして、実際にトラムの中には、ほとんどの場合ベビーカースペースが備え付けられている。低床トラムの場合では、それがドライバーのすぐ後ろに設けられており、ドライバーが必要に応じてベビーカーの乗車及び降車を支援できる位置関係が確立されている。車内には、ベビーカー専用ボタンも備えられており、ボタンを押すと通常よりドアが長く開き滞在するといった工夫も施されている。また、フィンランドの市街地によっては、乗車の際、ベビーカーに乗っている子どもはもちろんのこと、ベビーカーを押している大人も運賃が無料になるというシステムを導入している地域もあり、ヘルシンキ市交通局でも実際にそのようなシステムが導入されている。これは、ベビーカーと乗車している親が、支払いでお財布を開けたり、なんだかんだとしている間に子どもは危険な状態に曝される、という考え方が基になっており、1980年代から無料化が実現した。このように、ヘルシンキの交通機関では、福祉的機能が交通機関に広く浸透しており、様々な形で利益からみたプラスの公共性の確立の様子が窺われる。

【参考図書】庄井良信/中嶋博『フィンランドに学ぶ教育と学力』明石書店 2009.2.15
【参考ホームページ】http://www.hel.fi/hki/hkl/en/About+HKL 

投稿: 総合演習 | 2010年12月 2日 (木) 14時10分

オランダ、アムステルダムのトラムに関する報告

 オランダの首都アムステルダムには、ヨーロッパでも有名な世界有数のLRT(軽量軌道交通)がある。このLRTはトラムと呼ばれ、運営はオランダ市営交通会社が行っている。
 路線網は主に、アムステルダム中央駅及びダム広場を中心とした放射状路線とそれに直結する環状路線からなり市内の主要交通としてその役割を担っている。中心部では、併用軌道であり、郊外では専用軌道となっている。この併用軌道とは道路上に敷設された路線軌道のことをいい、一般車両との並走が可能となっている。一方で、道路上以外の場所に確保された軌道のことを専用軌道といい主に郊外に設置されている。中心部の特に狭いところでは道路幅が軌道ぎりぎりであるため、一般車両の侵入を規制し許可された車両のみが通行できるようにされているところもある。バスが運行されている地区では、バスが軌道内を走行するためトラムの停留所とバスの停留所を兼ねている場所もある。
 このLRTは主に欧米で発達しているがLRTの整備によって得られる効果が以下のものである。①交通環境負荷の軽減。②交通転換による交通の円滑化。③移動のバリアフリー化。④公共交通ネットワークの充実。現在では自動車交通が主流となっていて、利用の自由度やドアトゥドア性等優れた面を有しているが、一方でLRTは、輸送効率性、環境対応性、ユニバーサル性、利用者の視点でみた低コスト性等の面で自動車交通に比べて優れた特性を有する交通機関である。
 LRTは乗用車に比べて人キロ当りのエネルギー消費、CO2排出が小さく、環境負荷の少ない交通機関である。このことに着目し、貨物をトラムによって運ぶという試みがアムステルダムでは行われていた。現在、アムステルダムの市内には、一日平均5千台の貨物自動車が流入している。カーゴトラム(CityCargo)が正式導入されれば、53本のカーゴトラムを使い、トラックの流入台数を半分に減らし、大気汚染も軽減されるはずであった。しかし、計画の遅れと収入源が見つからないという理由により断念することを余儀なくされた。とはいうものの、トラムにおけるこのような環境的配慮の可能性が提示されたことは大変有意義である。
 また、鉄道への乗り入れや他の公共交通機関(鉄道、地下鉄、バス等)との乗換え利便性向上、P&R駐車・駐輪場の整備を図ることで都市内交通の利便性が向上している。
アムステルダムには多くの人が暮らしているとともに、公共交通の拠点となるアムステルダム中央駅や多くの人が集まるダム広場があるほか、文教施設や公共公益施設、多くのショップや工業団地などもあることから、他の交通機関との連携施設であるトランジットセンターの整備など、利便性の高い公共交通ネットワークを構築することで高い公共性を有しているといえる。また、他のヨーロッパの都市同様自転車がメジャーな交通手段となっており、自転車道などもきちんと整備されているほか、アムステルダムは運河が縦横に発達しており、船も重要な交通手段となっている。このような交通手段とも連携されている点がアムステルダムのトラムの特徴と言える。
 定時性確保の視点からみても、このトラムは有能であると言える。路面電車は日本の都市内の一般道路上の軌道を使って当初専用的に走行していたが、昭和30 年代からは多くの都市で地元公安委員会の了解も得て、軌道内を一般の車が走行することを認める施策に変え、都市の自動車交通渋滞緩和をはかったりしていたが、大きな成果とはならなかった。 このため市電の定時性、定速性が守れず表定速度も10~15km/h にまで下がってしまった。
 一方アムステルダムのLRT は、上記路面電車と同様に街路上を走行する点は相異ないが、かつての日本と同じように専用の軌道を走行しており、いまでも定時・定速性は比較的よく守られ、表定速度も25km/h と高い。とりわけ近年のように都市中心部の土地利用が高度化したり、都市再開発事業と併せてLRT を整備することが多く、LRT の軌道が再開発ビル内を通行したり、地下に向かってレールが傾斜で敷設されていても容易に走行が可能で、市電にはない特性を持っている。
 以上のように、中心部であるアムステルダム中央駅やダム広場から蜘蛛の巣状に張り巡らされた交通網であるため利便性がよく、周辺地域の活性化につながっている。

投稿: 老若男女 | 2010年12月 2日 (木) 14時00分

アイルランドの首都ダブリンのLRTから見る都市交通について

 LRTとは、Light rail transit(軽量軌道交通)の略称であり、一般的にはライトレールと呼ばれる。ライトレールとは、都市内やその近隣で運行される比較的軽量な中小規模の鉄道のことを指す。
 アイルランドのダブリンでは、「Luas」と呼ばれるライトレールが運行している。アイルランドの交通事情は日本とよく似ている。アイルランドは日本と同じく車社会であり、道路も左側通行である。また、日本車がとても多く、全体の約半分がトヨタといった日本のメーカーで占められている。
 ダブリンは近年発展がとても著しい都市のひとつである。中心部では人口が凄まじい勢いで増加しており、それに伴って自家用車所有率が飛躍的に上昇した。これによって道路整備が追い付かず、交通渋滞の常態化が問題となっていた。そんな中。2004年に登場したのが「Luas」である。「Luas」とは、アイルランド語で「Speed」を意味する。「Luas」は、2つの路線からなり、一つが「Green Line」と言い、もう一つが「Red Line」と呼ばれる。「Green Line」は、市内中心部のセントスティーブンス・グリーンと南東部のサンフォードを約20分で結ぶ路線である。この路線は、ほとんどの部分をかつて存在していた鉄道の廃線を再利用して建設されたものである。市内の中心部から、郊外に向けて延びているこの路線は、観光客向けというよりは、地域住民の交通手段という意味合いが強くなっている。そして、「Red Line」は市内中心部のコノリー駅からヒューストン駅を経由し、南西部のタラまで約1時間で結んでいる。この路線は多くの部分が新設の路線である。また、市内中心部において、道路上の併用軌道を走る。(資料①②⑨)
 ダブリンの都市計画を推進する上で大切なことは、「定時制の確保」である。郊外の人々が市内中心部に行こうとすると、ひどい渋滞に悩まされるということがネックとなっていたのではないかと思う。「Luas」はこれらの問題を解決しており、公共性の形成を助けているといえる。(資料⑧⑨)
 「Luas」は、一日おおよそ70000人が利用するとされている。自動車から「Luas」に切り替えた人も少なくはないと考えられる。このため、「Luas」が開通する前よりも二酸化炭素の排出量が抑えられているであろう。現在、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスによる環境破壊は深刻なものとなっている。「Luas」はこの環境問題の解決に一役買っていると言えるのではないか。しかし、良い面ばかりだけでなく、騒音などの新たな問題が発生したのも事実である。「Luas」を運営している鉄道調達庁はこの問題を解決するために、振動の少ない車体の導入や最高時速を70㎞という比較的遅い速さにするといった工夫を行っている。(資料⑤⑨)
 「Luas」は単なる観光客向けの交通機関ではなく、地域住民の大切な足になっていることがうかがえる。運行間隔も5分から15分程度と短く、料金もひと駅1.50ユーロ(日本円で約170円)とリーズナブルである。ひどい交通渋滞による、交通麻痺の緩和に役立っているのではないか。また、「Luas」が出来るまであったバスに比べると、定時制は非常に確保されている。バスは道路の交通状態によって定時制がかなり左右されるため、交通渋滞の多いダブリンでは定時制は確保されていなかった。しかし、「Luas」は交通状態に左右されることがほとんどないため定時制は確保されている。「Red Line」においては、道路上に設けられた併用軌道上を走るということと、始発駅から終着駅まで1時間かかるため「Green Line」に比べると定時制は劣るが、バスに比べると遥かに定時制が保たれているので、重宝されていることと思う。(資料⑩)
 「Luas」は定時制や快適性が評価を得て、大きな成功を収めている。この成功を踏まえて、「トランスポート21」という交通計画が出され、新たな路線の建設や路線の延長が検討されている。(資料③④⑦)

≪参考資料≫
Luas公式サイト http://www.luas.ie/
ライトレールトランジット協会 http://www.lrta.org/luasindex.html

投稿: 七転八起 | 2010年12月 2日 (木) 13時52分

今回、私が選択した都市は、スペインのセビリアという町である。なぜこの都市を選択したのかというと、運行開始日が2007年と非常に新しく、セビリアの古く風情のある町並みと、新しい路面電車との対比が面白いのではないかと思ったからである。報告資料にある画像を見てみるとわかると思うが、現代的なデザインをしていても景観を壊していないことがわかる。セビリアでは、一度廃止されてから47年ぶりに路面電車が復活したということもあって、オープン当時、市民は浮き足立っているようだったそうだ。
このセビリアという都市は、南スペインに位置し、アンダルシアの州都である。スペイン最大である、世界三大聖堂のひとつであるカテドラルなどがあり、スペインでも有数の観光都市である。この路面電車(METROCENTRO)は、その観光中心地への短い長さしかない、完全に観光客のための電車となっている。
もともとは地下鉄を作る予定だったのだが、コンスティツシオン大通りの地下にはロマーノ[ローマ時代の遺跡]が数多く眠っている為に地下を掘り起こすことを断念、また、世界遺産であるカテドラルの地下を掘れば、カテドラルにどんな影響を及ぼすか計り知れない、という理由もあり、路面電車を計画したのだ。
この路面電車開通の主目的は、観光地の歩行者天国を作り上げることにある。
計画は、原則として一般車両の通れないトランジットモール化するためであり、これによって旧市街地からは車がほとんどいなくなる。そのため、旧市街地は路面電車と自転車、そして歩行者のみとなり、とてもクリーンで安全になる。
自動車が存在しない旧市街地を形成するため、この路面電車は2車両編成で、250人まで乗れ、約7分おきの間隔にて運行し、さらに朝の6時から夜中の2時までが運行時間となっており、かなりの運搬力を持っている。
そしてこの路面電車は、今、工事が進められている地下鉄と接続される(地下鉄は、郊外まで延び、その後、近郊線となる。その地下鉄は、セビリアの空港にもつながる予定)。
また、この路面電車は、町の鉄道駅(SANTA JUSTA)とも接続が予定されており、地元民にとっても、観光客にとっても、とても便利で快適な存在になる。

ここまでを調べて、私はかつてアメリカでゼネラルモーターズ(GM)が車社会をさらに促進させようと、市電をまるごと買収し路線をぜんぶ廃止していった、という話とは真逆の位置にあたるのではないだろうかと考えた。
「1949年までに、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボルティモア、セントルイス、オークランド、ソルトレークシティ、ロサンゼルス、サンフランシスコを含む45以上の都市で、GMは表に出ないで100以上の路面電車をGMのバスへ切り替えることに成功しました。」(http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/L9/190419.htm 路面電車を崩壊させた米自動車メーカー)参照
という話である。
つまり、車で移動するしか交通手段のない街をつくろうとしたということになる。貧乏人はみんなバスに乗り、金持ちは自家用車を買うだろう。格差は更に広がっていき、町は汚染される。
数十年経ったいまやそのGMは破綻し、国は違っているが路面電車は復活した。おそらく車社会への見直しがされた結果だろう。

そして、このLRT(Light Rail Transit、新型路面電車)は今、世界中で導入が進んでいる。
「旧来の路面電車を近年のハイテク技術を使って発展させた、ひとと環境にやさしい近代的路面電車システム」といえるだろう。その意味で、こうしたLRT開業増大の潮流は「トラム革命」といわれる。超低床広扉型車両、スピードの速さ,レールの樹脂被服、交差点でのLRT優先信号、および信用乗車制や共通運賃制の採用等、ハードとソフトが一体となって,新しい交通システムとしての効果を発揮している。
私は、安全性、利便性、環境への影響、街の景観への影響どれをとっても、非常に良さそうなこのセビリアの路面電車の計画は時代を遡るように見えて、実は世界に先駆けて一歩先へ進んでいるのではないかと思う。

投稿: 路面電車 | 2010年12月 2日 (木) 12時33分

オスロ(ノルウェー)の公共交通-T-baneとTrikk -

オスロとは、ノルウェー王国の首都にして最大の都市であり、王宮、行政、立法、司法などの機関が集まる都市である。世界でも物価の高い都市のひとつでもある。オスロ市の人口は約570,000人でノルウェーの人口の11.8%を占める。オスロ市の人口は現在も毎年約1万人ずつ増え続けている。
オスロ市内には地下鉄(T-bane)が走っている。また、地下鉄のほかにバスやトラムと呼ばれる路面電車も利用可能である。今回の報告では、地下鉄であるT-baneと路面電車のトラムに注目し、オスロの公共交通についてまとめる。
T-bane(テーバーネ)は、ノルウェーのオスロ市内を走る地下鉄の名称である。全部で6種類の路線があり、いずれの路線もオスロ中央駅を通過する。T-baneは、1966年に建設されたオスロ市東部郊外と中心部を結ぶ路線から始まった。T-baneには、オスロ中心部にSentrumと呼ばれるJernbanetorget(オスロ中央駅)、Stortinget、Nationaltheatretの3駅があり、それを中心に6つの路線が走っている。それぞれの路線には名前ではなく、路線1(Linje1)、路線2(Linje2)といったように単純に番号が割り振られている。各路線の詳細は以下の通りである。かっこ内の方角と距離は、オスロ中央駅からの方角と距離を示す。
・Linje1 Frognerseteren(北北西約8.5km)とHelsfyr(東約2.9km)間の25駅を約42分から43
分、およびBergkrystallen(南東約6.4km)間の34駅を約55分から57分で結ぶ。
・Linje2 Østerås(西北西約8.6km)、Ellingsrudåsen(東北東約9.6km)間の26駅を約42分から
43分で結ぶ。
・Linje3 Sognsvann(北約6.2km)、Mortensrud(南南東約8.2km)間の27駅を約42分から43分
で結ぶ。
・Linje4 Ringen(実際はCarl Berners plass、北東約2.1km)、Bergkrystallen(Linje1を参照)間の24駅を約40分から41分で結ぶ。
・Linje5 Storo(北東北約3.9km)、Vestli(北東約12km)間の26駅を41分から42分で結ぶ。
・Linje6 Husebybakken(西北西約5.3km)、Ringen(実際はBlindern、西北西約3.7km)間の16
駅を約28分から29分で結ぶ。
全ての路線で共通して、先述のSentrumの3駅で停車する。また、早朝や深夜を除き、15分刻みで運行する。
次にトラムについて述べる。オスロ市を東西に走るトラム(現地名トリックTrikk)は、市民だけでなく旅行者にとっても便利な交通機関となっている。オスロ・パスおよびトラムやバス、地下鉄など市内の交通機関が乗り放題になる24時間交通パス(Dagskort)を持っている場合は、車内で一度打刻すればそのまま何度でも乗り降りできる。オスロ・パスとは市内交通と博物館のフリーパス券で、24時間券が230クローネ(≒3220円)である。市内交通費と博物館の入場料がセットになっていることが特徴であり、観光客向けのものである。オスロ市内の美術館、博物館、観光スポットに無料で入場でき、市内を走るトラム、バス、地下鉄、ノルウェー国鉄ゾーン 4 内までの公共交通機関や、市営駐車場、一部のプールも無料で利用できる。レンタカー、レンタル・スキー、一部のレストランやショップなども割引になる。路線は市内中心部を環状運転する形で放射状に周辺へと伸び、地下鉄のスケールを縮小したような形である。系統は10、11、12、15、17、19の6系統と夏場にだけ運行する13、18の2系統とがある(資料⑥で二重線になっている系統)。 乗車は前乗り後降りが基本で、乗車券を持っていない場合は前乗り、刻印済みの乗車券や1日券などを持っている場合は後ろからも乗車できる。降車時には赤いボタンを押して運転手に知らせ、後ろドアにある黄色のボタンを押してドアを開け降りる。
T-baneとトラムによってオスロの公共交通は、本数的にも範囲的にもかなり充実しているといえるだろう。それは市民にとっても、観光客にとっても同じである。人口が急速なスピードで増え続けるオスロにっとては、公共交通の充実は不可欠なものである。

投稿: 四面楚歌 | 2010年12月 2日 (木) 11時56分


 
 ドレスデンはドイツの東の端に位置する都市で、歴史的建造物と美しい景観に恵まれた人口51万人の年である。中世のころからモーツァルトを初めとし多くの音楽家がこの都市で活躍し文化や芸術の都として栄えたが、第二次世界大戦で空襲の被害に遭い、都市は破壊状態となった。戦後、この都市の復旧が行われ、歴史的建造物の復元と共に美しい景観を取り戻し、再び歴史や芸術、景観を味わうために多くの観光客が訪れる。
 ドレスデンの市内交通を担う役割として、ドレスデン交通企業チャイの運営による路面電車がある。東西ドイツ分断のころにモータリゼーションの影響が遅れたため、路線廃止が行われず、そのため、人口に対してはかなり長い総延長約130キロメートルあまりの路線を有する。東西ドイツ統合後には、超低床車が導入され初め、愛称がついている車両もあるほど市民から親しまれている。利用者が非常に多いため、列車編成も約45メートルと、他国の路面電車に比べてもかなり長大である。
 路面電車が多くの人から親しまれ、高い公共性をもつ背景として、第一に、利用者のニーズに応じたサービスが豊富であることが上げられる。たとえば、各地からこの都市を訪れる観光客向けの「カルチャールート」という、歴史的建造物を一通り回ることができるルートと、都市の住民向けの「ショッピングルート」という、買い物をするためのルートがある。このルートによって観光客と市民の両者にとって利用しやすいサービスを実現している。また、「GOOD NIGHT LINE」という夜の利用者のための運行サービスもあり、これは、夜に仕事やパーティなど外出する人々のために、深夜1時から4時までの間停車駅を限定して路面電車を運行するサービスである。さらに、ドレスデンの路面電車には、その乗車券にも工夫がある。主な駅に必ず乗車券販売機がおいてあり、そこで乗車券を簡単に購入することができる。ドイツ語表記のほかに英語表記の場面に切り替えることもでき、観光客も利用しやすいようになっている。この乗車券のほかに時間基準のカードも販売しており、60分、48時間、72時間カードなどその時間内ならば、何回でも乗車できるものである。観光や買い物などその時々の用途に合わせて乗車券を購入することができる。これらの路面電車のサービスを提供するドレスデン交通企業体はDBVという愛称で呼ばれ、としか口にサービスセンターやサービスポイントを設けている。ここは誰でも利用することができ、乗車券、カードの販売や観光客の対応はもちろん、路面電車のグッズ販売も行っている。また、路面電車の情報冊子の発行や、クリスマスなどの行事のイベントの開催など、市民と身近に交流できるよう工夫している。
 第二に、環境を考慮した路線の利用である。ドレスデンでは、世界的に例をみない電車方式の貨物列車が運行している。カードトラムと呼ばれるこの電車は2001年より運行し、世界から注目を浴びている。これは、ドレスデンの東部にあるフォルクスワーゲンの工場が1998年に解説されたことが発端となっている。乗用車の生産に伴って発生する有限物質の削減などエコロジーに重点を置くこの工場は敷地面積が狭く、資材や部品の倉庫を設置できなかったため西部にあるドイツ鉄道の貨物駅に隣接して倉庫を建設した。初めはトラックで工場まで運搬していたが、大気汚染などの環境の問題や、道路交通の安全性の懸念から、既存の路面電車を活用することとなった。今では、60t、トラック3台分の荷物を積載可能にしている。自動車と鉄道という相反するものを有機的に結び付けただけでなく、環境への優れた取り組みとして評価されている。
 第三に、景観維持においても重要な役割を担っていることがあげられる。歴史的建造物に恵まれているドレスデンでは、路面電車も景観のひとつとして考えられ、旧路面電車やSLを運行するなど、ドレスデンの風景に欠かせないものとなっている。電車の車両はもちろん、駅やサービスセンターなども自然とドレスデンの街並みに溶け込んでいる。
 このように、ドレスデンは、都市でもあり、観光地でもあり、工業も栄え、交通に関して様々なニーズが要求される。路面電車は都市内交通の中心としてこれらすべてを繋ぐ役割を果たしているだけでなく、同時に環境や景観の維持向上にも貢献している。それゆえ市民に親しまれ、自動車の普及にもかかわらず多くの利用者が多いのである。ただ、速度や便宜性のみをもとめるだけでなく、時の経過とともに、多様化する人々のニーズに対応し、その都市の景観にあった心地よい交通機関であることが公共交通として重要なのである。

投稿: 花鳥風月 | 2010年12月 2日 (木) 11時50分

「ヴェネツィアの都市内交通が市民にもたらすものとは」

 ヴェネツィアの都市内交通を語る前に、まず始めに都市概要について簡単に触れておく。ヴェネツィアはイタリアの北東部に位置し、ヴェネツィア湾に臨む港湾都市である(資料1参照)。町は120近くの小島から成り、170余の運河と400を超える橋で結ばれている。運河と橋から分かるようにヴェネツィアは別名「水の都」とも呼ばれており、運河が縦横に至るところに広がっているため、地上では迷路のように道が狭く曲がりくねっている。そのため路地や通りに自動車は入れず、都市内にいくつも架かっている橋は歩行者専用である。商工業が盛んであるが、何世紀もの間ゴンドラと呼ばれる手漕ぎボートが市内の輸送を担っていた。さらにサン・マルコ大聖堂などの歴史的建造物も多くあり、観光都市として有名な町である。
 では「水の都」と称されるヴェネツィアでの都市内交通はどのようなものであるのか。ヴェネツィアでは大きく分けて市民の足となる交通機関は2つあると考えられる。一つは上記でも触れたが「水の都」ならではのゴンドラ、水上バスである。島内では自動車での移動は不可能であり、自転車の使用も禁止されている。車が入れず、一方で運河が発達していることから主な交通機関は必然的に船である。水上タクシー、水上バス、渡し船などが運河を用いて頻繁に運行されている。交通に運河を用いた水上交通が頻繁に用いられることから、運河に面した玄関を持つ建物も多い。また警察や消防、救急輸送も車に代わり、船舶を用いてその業務を行っている。簡単に水上バス、水上タクシーについて解説するが、水上バスは通常ヴァポレットと呼ばれている。ヴェニス島内の大運河を通るもののほか、外周を回るもの、各島などへの路線など現在25路線あるが、普通路線はルートごとに1から82までの番号(欠番もあり)がつけられており、深夜便やフェリー、急行など特殊便にはアルファベットがつけられている。水上タクシーは運河のあるところを通り目的地付近まで乗せてもらうことができる、通常のタクシーと同様の仕組みで運行している。しかし、目的地付近と述べたのは、目的地近くに運河がない場合は近くの運河までしか乗せてくれず、あとは徒歩になる。ただしヴェネツィア市内では、水上バスが多くの役割を果たしているため、水上タクシーの利用は少ない。こうした水上バスや水上タクシーは市民だけではなく、観光客にも大いに利用されている。次に二つ目の都市内交通機関として鉄道を挙げる。ヴェネツィアの主要鉄道駅であるサンタ・ルチーア駅がカナル・グランデという町にある。この駅はイタリア本土との連絡地になっており本土との行き来は容易である。サンタ・ルチーア駅にはローマやミラノなどの各主要都市へ向かう列車、さらには近隣のオーストリアやドイツ・スイスなどへ向かう国際列車が発着している。このように島内だけではなく、本土との行き来が簡単にできるため鉄道も主要な都市交通の一部として捉えられている。
 水上バスや水上タクシーといった都市内交通は、家と家、人と人を結ぶ主要な交通機関であり、鉄道は地域と地域を結ぶ主要な交通機関だと考える。前者は地域社会、すなわちコミュニティを形成する役割を担っていて、後者には生活の質を向上させる役割がある。それぞれが違ったアプローチで市民に働きかけているのではないかと考える。サン・マルコ広場周辺は観光地として名高い地区であるのにも関わらず、未だ生活があって、子どもたちが広場で遊んでいる光景がよく見られる。これは自動車がない町であるが故にもたらした治安の良さだということができる。先程も述べたが、ヴェネツィアでは運河が縦横至るところに広がっているため、自動車が通れる路地や通りはない。自動車がないから誘拐もないし、犯罪もない。都市内交通は全て水上であるから、悪事を働いてもすぐに逃げることができずにつかまってしまう。また自動車が走らないということは、このご時世環境に良い影響をもたらしているといっても過言ではない。またヴェネツィアは何度もいうように観光都市であるから、観光で訪れた人々に歩くことの爽快さ等を感じたことから派生し、自動車やバスなど乗り物使う人が減る可能性もある。そうした可能性が環境問題に取り組む人を増やすことにもつながる。自動車・自転車の使用を一切禁止し、運河を利用した水上バスや水上タクシー、ゴンドラが都市内交通として位置づいていることで、ヴェネツィアは治安が良い都市として、さらに環境問題を推進する都市よいコミュニティが形成されているということができる。次に後者の鉄道であるが、主要都市に出かけショッピングやレジャーを楽しむために鉄道は都市内交通として利用されていると考えることができる。つまり自分らしく生活を営んでいけるように他地域へ出かけ、生活の質を向上させる。ヴェネツィアの鉄道はそういう役割を持ち得ている。最終的にこれら二つの都市内交通はどちらもより良い生活を営むために交通機関として位置付けられ、この位置づけによってより良い地域社会が形成されているということができる。

参考URLは報告資料参照

投稿: 統計資料 | 2010年12月 2日 (木) 10時45分

オランダ、アムステルダムのトラムに関する報告

 オランダの首都アムステルダムには、ヨーロッパでも有名な世界有数のLRT(軽量軌道交通)がある。このLRTはトラムと呼ばれ、運営はオランダ市営交通会社が行っている。
 路線網は主に、アムステルダム中央駅及びダム広場を中心とした放射状路線とそれに直結する環状路線からなり市内の主要交通としてその役割を担っている。中心部では、併用軌道であり、郊外では専用軌道となっている。この併用軌道とは道路上に敷設された路線軌道のことをいい、一般車両との並走が可能となっている。一方で、道路上以外の場所に確保された軌道のことを専用軌道といい、主に郊外に設置されている。中心部の特に狭いところでは道路幅が軌道ぎりぎりであるため、一般車両の侵入を規制し許可された車両のみが通行できるようにされているところもある。バスが運行されている地区では、バスが軌道内を走行するためトラムの停留所とバスの停留所を兼ねている場所もある。
 このLRTは主に欧米で発達しているがLRTの整備によって得られる効果が以下のものである。①交通環境負荷の軽減。②交通転換による交通の円滑化。③移動のバリアフリー化。④公共交通ネットワークの充実。現在では自動車交通が主流となっていて、利用の自由度やドアトゥドア性等優れた面を有しているが、一方でLRTは、輸送効率性、環境対応性、ユニバーサル性、利用者の視点でみた低コスト性等の面で自動車交通に比べて優れた特性を有する交通機関である。
 LRTは乗用車に比べて人キロ当りのエネルギー消費、CO2排出が小さく、環境負荷の少ない交通機関である。このことに着目し、貨物をトラムによって運ぶという試みがアムステルダムでは行われていた。現在、アムステルダムの市内には、一日平均5千台の貨物自動車が流入している。カーゴトラム(CityCargo)が正式導入されれば、53本のカーゴトラムを使い、トラックの流入台数を半分に減らし、大気汚染も軽減されるはずであった。しかし、計画の遅れと収入源が見つからないという理由により断念することを余儀なくされた。とはいうものの、トラムにおけるこのような環境的配慮の可能性が提示されたことは大変有意義である。
 また、鉄道への乗り入れや他の公共交通機関(鉄道、地下鉄、バス等)との乗換え利便性向上、P&R駐車・駐輪場の整備を図ることで都市内交通の利便性が向上している。
アムステルダムには多くの人が暮らしているとともに、公共交通の拠点となるアムステルダム中央駅や多くの人が集まるダム広場があるほか、文教施設や公共公益施設、多くのショップや工業団地などもあることから、他の交通機関との連携施設であるトランジットセンターの整備など、利便性の高い公共交通ネットワークを構築することで高い公共性を有しているといえる。
 また、他のヨーロッパの都市同様自転車がメジャーな交通手段となっており、自転車道などもきちんと整備されているほか、アムステルダムは運河が縦横に発達しており、船も重要な交通手段となっている。このような交通手段とも連携されている点がアムステルダムのトラムの特徴と言える。
 定時性確保の視点からみても、このトラムは有能であると言える。路面電車は日本の都市内の一般道路上の軌道を使って当初専用的に走行していたが、昭和30 年代からは多くの都市で地元公安委員会の了解も得て、軌道内を一般の車が走行することを認める施策に変え、都市の自動車交通渋滞緩和をはかったりしていたが、大きな成果とはならなかった。 このため市電の定時性、定速性が守れず表定速度も10~15km/h にまで下がってしまった。
 一方アムステルダムのLRT は、上記路面電車と同様に街路上を走行する点は相異ないが、かつての日本と同じように専用の軌道を走行しており、いまでも定時・定速性は比較的よく守られ、表定速度も25km/h と高い。とりわけ近年のように都市中心部の土地利用が高度化したり、都市再開発事業と併せてLRT を整備することが多く、LRT の軌道が再開発ビル内を通行したり、地下に向かってレールが傾斜で敷設されていても容易に走行が可能で、市電にはない特性を持っている。
 以上のように、中心部であるアムステルダム中央駅やダム広場から蜘蛛の巣状に張り巡らされた交通網であるため利便性がよく、周辺地域の活性化につながっている。

投稿: 老若男女 | 2010年12月 2日 (木) 09時53分

自分が選択した海外都市は韓国のソウル特別市である。選択した理由は、単純に興味があることと、韓国に行ったことがあり、地下鉄の利便さ、あるいは不便さを実感したからである。また、今はなき市電の存在も聞いたことがあったからである。
まずソウルの概要であるが、ソウルの人口は韓国の経済発展に伴って急増を続け、1975年の680万人から1990年には1061万人にまで到達した。しかし翌年の1092万人をピークにその後は微減傾向が長く続いている。これはドーナツ化現象が進んだためと見られ、日本の東京が高度経済成長に伴って急速に拡大し、その後都心部の人口が減少していったことと状況が極めて良く似ている。ただ都市圏そのものは現在も拡大を続けていて、既に韓国全国民のおよそ5分の1がソウル市民、およそ半分が首都圏在住という状態になっており、日本以上の首都一極集中が進んでいる。
続いてソウルの路面電車の概要である。東大門の横に発電所が併設され、1899年4月8日に西大門-清涼里間に開業式を催し、単線未舗装ながらも電車の運行は始められた。途中、鍾路を東西に貫くルートであった。この時の車両は当時のアメリカの路面電車に見られたオープン型のスタイルで、乗降用扉がなく、車体側面に設けられたステップから直接車内へ出入りするものであった。建設時の経緯から、一般車8両とともに当初より貴賓車1両が製造された。運転は京都電鉄から出向した日本人が担ったと言う。電圧は直流600V、軌間は1067mmであった。当初は電車に対する物珍しさから乗客が殺到したが、後に子供を轢死させる事故が起こると暴動が発生し、電車が焼失する事態まで招いた。これに伴い日本人の運転士は身の危険を感じて全員が辞職し、代わってアメリカ人運転士が着任するまでの1週間、電車の運行は停止された。その後、路線の拡張を計画する。南大門、旧龍山方面への延伸がなされ、車両も増備した。また、電気事業も好調で電車事業とともに拡張工事が必要となり、それに必要な資金を調達するため、漢城電気は米国信託会社に会社を売却し、資金を調達。韓美電気(社長ヘンリー・コールブラン、本社アメリカ)が事業を引き継いだ。しかし1950年に朝鮮戦争が勃発し、ソウルも同戦争における激戦地となった為、半数以上の車両が焼失した。このため運行を確保するのには苦労が伴った。1960年代後半以降、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げたことによってモータリゼーションが進み、運行が困難になってきたことで廃止の方針がとられ、1968年11月30日までに全線が廃止された。この年5月には釜山の路面電車も廃止された為、韓国から路面電車は消滅することになった。
現在、2両(363号、381号)の電車が保存されている。363号はソウル市内の国立ソウル科学館に保存・展示され、オリニ大公園に長年保存されていた381号はソウル歴史博物館の野外展示場に移設した上で当時の姿に近い状態に復元された。
路面電車に代わる公共交通が地下鉄である。ソウルの地下鉄は、清潔で速度も速く、また便数も多い市民にとって便利でリーズナブルな公共交通機関だが、外国人旅行者にとっても英語表示や時に漢字表示もあって利用しやすい交通手段である。レールの軌道も標準軌で作られているため、車両の幅が広く一両辺りの定員も多く、日本の大都市の狭軌軌道の地下鉄のようにラッシュ時に超過密状態にはならない。また、朝5時半から夜半の24時まで、ほぼ数分おきのダイヤのため、あまり待たされることもない。
路線は1号線から8号線まで8系統あり、各路線は市内のエリアをほぼカバーしており、ソウル市内の殆どの観光名所の近くには地下鉄の駅がある。路線によっては、国鉄のキョンブ(京釜)線やキョンイン(京仁)線、アンサン(安山)線に乗り入れており近郊都市との連絡にも便利である。市内を巡る環状線や近郊のイルサン(一山)新都市まで繋がっている路線、キンポ(金浦)金浦空港と直結している路線など、その路線は多岐にわたっている。
地下鉄の乗り方は、ほぼ日本と同様で、あまり迷うことなく乗ることができる。切符は券売機で購入するが、バスや一部のタクシーと共通で使えるプリベイト式の非接触型ICカード「Tマネー」という乗車券もあり、コンビニでも購入可能である。

投稿: 新聞記事 | 2010年12月 2日 (木) 03時14分

 アメリカ、ニューヨーク市の公共交通機関である地下鉄の概要を報告する。ニューヨーク市の地下鉄は、その市内において路線数が26路線、駅数は468駅で運行している。(資料④)交通区域は、マンハッタンを中心にブロンクス、クイーンズ、ブルックリンのほぼ全域を網羅している。ニューヨーク市に地下鉄が設置されたのは、1904年のことであり、それ以前は乗合馬車やケーブル・カー、市電が走っていた。(資料②)しかしこれらの地上を走る乗り物はスピードが出ず、乗客の数に限りがあるため、ニューヨーク市の拡大と住民の急増からして路上での混雑という弊害が顕著であった。1904年の営業開始後、地下鉄はその速さと安さにより急速に発展し、ニューヨーク市の代表的な公共交通機関となった。
 時刻表(資料⑤・⑥)はあるものの日本のように順守されていない。とくに時間厳守というような姿勢は地下鉄管理者側には見られず、何時何分に電車が来るかということはほとんどわからない。しかし、深夜や休日を除けば何時間も待つということは稀である。
 1960年代以降、アメリカ全域において、都市交通への連邦政府の介入が始まり、ニューヨークにおいても1990年代には地下鉄の落書きだらけの危険な乗り物として知られていた地下鉄が、子どもや女性も安心して乗ることのできる交通機関へと、目に見える形で改善がなされた。(資料③)地下鉄内でのルールも定められており、具体的には飲酒、喫煙、物乞い行為の禁止や、ゴミを捨てること、読みかけ雑誌・新聞を置いていくということの禁止、1人で2席以上使用すること、ドアに寄りかかること、鞄を置いて席を確保するなどの行為も禁止されている。このルールを破ると罰金が科せられる。地下鉄内の秩序については、日本の電車よりも徹底した取り組みがなされている。
 ニューヨークでは文化や所得ごとの住み分けが顕著になされている。たとえば、ハーレム地区はアフリカ系アメリカ人が多く居住しており、クイーンズ地区は、ラテン系アメリカ人が多く居住している地域である。そのような思想信条・主張主義や生活習慣の異なる人々が集う「公共の場」である地下鉄は彼らにとって緊張を強いられる場所であるが、一方でそこで生まれる個々の違いを超えたつながりが都市を健全な姿にするといえる。もし、ニューヨークが完全な車社会であったなら、住み分けが極端に加速し、ゲーテッド・コミュニティが急激に増加するだろう。車社会の発展は、貧富差の拡大に多少なりとも影響を及ぼすと考えられる。
 また、公共交通機関と環境とのかかわりについて、自動車の使用との比較によって考えたい。今日のアメリカ社会においては大気汚染やエネルギー問題の懸念によって、かつての自動車への憧れが消えつつある。アメリカの都市の大気汚染の主要要因は自動車であり、自動車の技術改良にも限界がある。また、騒音や景観破壊などの環境問題への対策も必要であり、車社会において環境問題は解決しがたい問題である。さらに、アメリカのエネルギー消費についてもその30%を交通部門が消費しているが(資料⑦)、自動車交通は交通部門の約60%を消費しており(資料⑧)、その量はアメリカの石油輸入量に相当するといわれる。これに対し公共交通機関の利用は騒音や振動の問題があるにせよ、自動車に比べて自然環境への負担は少ないといえる。
 地下鉄がもたらす公共性の形成については、先にも触れたが、様々な文化的背景を持つ他者と関わりを持つ場所であり、機会であるということが大きなポイントとなるだろう。一般的にニューヨークのような大都市では、人々は相互的な認知の度合いが低く、孤立化するものであるが、ニューヨーク市においては移民の歴史であることから、ヘイトクライムなどの問題を抱えながらも人種や文化の異なる者同士が協力し、それぞれの特性をニューヨークという都市の特色として打ち出し、街を作ってきた。この発展において、自分と異なる者との接触は大きな原動力を生んだはずである。地下鉄という1つの場所をとってみても、共通する目的地の移動手段としての役割という他に、人々が共生するためのルール設定などの環境づくりや人を問わず誰もが利用できる乗り物であることから、そこでの人々のかかわりが地域的連帯感の形成を担っていることは確かである。誰に強制されるわけでもない異文化との交流の機会とは、都市全体の公共性の拡大の重要な要素であるといえる。それゆえ、公共交通という空間は、自動車の作りだす私的な空間の対であり、またその有用性からも現代アメリカにおいて再評価されている交通機関である。

投稿: 有言実行 | 2010年12月 1日 (水) 23時59分

『公共性の形成という視点から見たロンドンの地下鉄とバスについての考察』

 ロンドンは、観光客の多さやイギリスの首都で商工業・金融・文化・政治の中心でもある事から、公共交通機関が充実しており、地下鉄とバスを中心に鉄道なども整備されており、3つの公共交通機関がある。
ロンドンの地下鉄はチューブと呼ばれており、世界で最初に開通した地下鉄であるという事でも有名であるが、世界有数の規模である12の路線網を有しているという事でも有名であり、路線が広範囲にわたって整備されているため、地下鉄だけでロンドン市内の中心部のほとんどの場所へ移動する事ができるのという所が特徴として挙げられる。また、トラベルカードやオイスターカードなどプリペイドカードが多数販売されており、そのプリペイドカードを使用すると乗車料金が割引されるという特典があるため、カードを上手に使って地下鉄を利用する事ができれば非常に利便性のある公共交通機関であるという事ができる。
しかし、地下鉄は遅れが多いという所で定時性を確保出来ていないという問題やバリアフリー化が進んでいないという点で、誰もが利用する事ができると言えるほど公共性が形成されていないという問題もあわせ持っている。先ほど述べたように、ロンドンの地下鉄は世界で一番最初に作られ、現在でもその路線を利用して運行されているため、一部の区間を除き建物の老朽化が問題視され、エレベーターが木造の建物もあるほどである。特に、ロンドンの中心部を走っている路線にある地下鉄の駅では、駅の構造上、バリアフリーを推進するためのエレベーターやエスカレーターを設置するだけの余裕が無い駅が多いという事や、ホームと車両との距離が離れているという理由から幼児や高齢者、妊婦、身体障害者、車イスを利用している方の視点からロンドンの地下鉄を捉えると非常に利用しにくい側面もあると考える事ができる。つまり、広範囲のネットワークを迅速に移動する事を可能にするという点で利便性があると捉える事ができ、スピードや利便性を重視して利用するビジネスマンを対象とすれば有効な公共交通機関であると考える事が出来るが、誰でも気軽に利用する事ができるという訳ではないと考える事ができる。
ロンドンにおける公共交通機関のもう一つの代表的な存在としてはバスを挙げる事が出来る。バスはロンドンの中心部から郊外までくまなく路線網が張り巡らされており、ロンドン市内だけでも200を超える系統が運行され本数としてもかなりの本数が走っており、ロンドン市内を縦横に走る赤い2階建てのバスが世界的に有名である。路線によっては夜間に運行するナイトバスが運行され、仕事などで夜遅くに帰る人へのサポートとなっている他に24時間運行しているバスもある等、イギリスの商工業・金融・文化・政治の中心を担う都市であるロンドンの地域性に基づいたサービスが展開され、地下鉄に比べて速さという点では劣ってはいるものの、その他の点においてサービスの充実が図られている公共交通機関であると考える事ができる。ロンドン市内の地下鉄の初乗り料金が2ポンド(約260円)であるのに対し、バスは1.2ポンド(約160円)と比較的安価で乗車する事が出来るのも特徴の一つである。また、2005年12月に昔から走行していた「ルート・マスター」が、車掌が同乗するよりもワンマンバスの方が効率的であるという点や、常に開放されている乗車口が危険だという理由から廃止され、「ダブルデッカー」という新しい二階建てのバスに切り替わった。これをきっかけとしてバスのバリアフリー化が進み、現在ではほとんどのバスがバリアフリー対応のバスになっており、多くの人が利用する事が可能となっている。
つまり、自動車がなくてもロンドン市内を移動する事が可能な程、ロンドンは地下鉄やバスなどの公共交通機関の整備がされているのだが、その中でも特にバスは地下鉄以上に市民にとって身近な存在としてロンドン市民に位置づけられ、地下鉄を補完する存在となっているのである。また、地下鉄を超える年間約480万人に利用され、費用的な面から見ても路線や本数などの利便性という面から見ても、地域性という面から見ても幼児や高齢者、妊婦など多くの人が利用する事ができる整備がされているという点から見ても市民の足として親しまれていると考える事ができ、公共性が高いと考える事が出来るのである。

投稿: 春夏秋冬 | 2010年12月 1日 (水) 23時13分

僕はドイツのカールスルーエの路面電車『トラム』を筆頭とした公共交通機関の特徴を説明していきたいと思います。
まず、『トラム』には改札が一切ありません。乗客は停留所の自動販売機で買った乗車券を乗車するとき運転手に切符を見せる必要もないし、降りるとき切符を出す必要もありません。トラムには数箇所の出入り口があり、乗客はどこを使ってもいいので、乗降がスムーズでトラムの停車時間が短くて済むという利点があります。この切符にも仕掛けがあり、地下鉄・Sバーン(日本で言うJR)・トラム・バスの4つの公共交通機関を一つの切符で乗り回すことができます。
続いて、カールスルーエの交通の大きな特徴として、鉄道と『トラム』の独特な融合、つまり、日本で言うJRが市電の線を走ることができるということです。これは、《カールスルーエモデル》と呼ばれています。これを可能にするのは、Sバーンの車両の中に『トラム』の路線を走ることのできるエンジンです。そのエンジンもSバーンに積まれているため、それに切り替えることで『トラム』として走ることもできる、ということなのです。
さて、日本では車を使うのなら公共交通機関を使用しない、公共交通機関を利用するのなら、駐車場が高いから車は利用しない、という考え方が多いのではないでしょうか。カールスルーエでは、Sバーンが『トラム』と融合してから、駅に隣接した形で無料の駐車上ができ、駅まで車で行き、そこから公共交通機関を利用する人が多くなりました。この要因として、車を利用して都市部に向かうことの利便性に疑問、環境に配慮、ガソリン代等の経済的問題があげられます。トラムなどの公共交通機関を利用する理由はこれだけではありません。カールスルーエが一般的な鉄道と違う、というのは先ほど鉄道とトラムの融合で言った通りです。つまり、鉄道では行くことができない細かな場所もトラム仕様に切り替えることで行くことができるという利便性がある、ということが大きな要因です。多くのカールスルーエの市民が車での移動に限らず、トラムと併用することで環境にも配慮、そして利便性も高いと考えているのです。ドイツが目指しているのは、単純な車かSバーン・トラムかという2択ではなく、必要に応じて車もSバーン・トラムも利用することができる、などの選択肢の多い交通手段をとれる社会を目指しているのです。
これまでの説明でトラムの利便性などは分かっていただけたと思います。では、高齢者など自分一人では乗り降りが難しい人々への対処、バリアフリーと呼ばれる対策はどのように行われているのでしょうか。まず、ベビーカーをおすお母さん方に朗報です。Sバーン・トラム・バスには必ずベビーカー・車椅子用のスペースが用意されています。旧型のトラムにもスペースはあったのですが、乗降口が狭いし階段が4段ほどあったので、ベビーカーの乗せ降しには必ず手助けが必要でした。それに対して数年前に導入が始まった新型の低床車両は停留所と車床の高低差は約20センチ。これにより、ベビーカーの乗せ降しも一人で可能になりました。 では、車いすの人は20センチという高さでも大丈夫なのでしょうか。そんなことはないでしょう。そこで、最新の停留所は車床と同じ高さ(地面から30センチ)に作られ、歩道とはスロープ(傾き6度)でつながるように設計されました。歩道→停留所→車床の段差は文字通りゼロだから、車椅子に乗った障害者も一人で乗降できるのです。
トラムの利便性や環境配慮、公共性について説明してきましたが、最後にトラムが抱える問題について説明していきたいと思います。 先ほど細かなところまでも行けることで、多くの利便性を得ているという話をしました。ほとんどのSバーン・トラムが街のメインストリートを通るように路線が組まれているので、乗り換えは非常に便利にできています。便利ではありますがメインストリートで何か事故が起こると全体に大きな影響が出てしまうので、システムのアキレス腱でもあります。また、メインストリートではSバーン・トラムの渋滞 も発生するし、人身事故の危険性も高いのです。実際、昨年暮れには酔った女性が車両にひかれて死亡する事故も起きています。これを解決するために、メインストリートでは地下にトンネルを掘り交通の緩和を図る案が出されています。しかし、これにも問題があり地下に停留所を設けることで治安の悪化、安全性の欠如が叫ばれています。実際、停留所から自宅までの数分の距離を夜中に歩くことが危険だと感じる女性も多く、治安が公共交通の発展に暗い影を落としているという現実もあるようです。
カールスルーエには世界各国からこのシステムを偵察に来るらしいが、実現するには多くの課題を抱えていることも少なくはないらしいです。それを実現しているのはカールスルーエ交通連盟と市の都市計画が上手く需要を掘り起こしているからです。自然に使いたくなる、使っていて便利な交通環境を提供することがこれからの公共交通の発展に必要ではないでしょうか。

投稿: 億万長者 | 2010年12月 1日 (水) 19時12分

 スウェーデンの首都ストックホルムは、14の島から構成されています。郊外を含めると2万4000もの島から成る群島の都で、市内の総面積は216kmほどで、そのうち水の占有面積は13%に及びます。
 まず、ストックホルム市外形成の歴史について説明します。ストックホルムは13世紀中頃、現在も中世の街なみが残るガムラ・スタン(旧市街)の丘に砦を築き、城壁で囲まれた中に人々が住み始めました。17世紀からドイツの技術者を雇い、近代的な都市計画を始めました。19世紀には、産業革命により好景気になりますが、地方からの人口の流入により住宅難となり、北へ市街地が拡大します。20世紀初頭、パリの街を手本として、都市軸を持った都市計画を始めます。この頃より路面電車を作って、郊外の住宅地を拡大していきました。公園の中に住宅を造るようにし、緑の多い住宅地を形成していきます。20世紀中頃から地下鉄の建設を開始します。それに伴って住宅地も郊外に多く建設されるようになります。この頃はイギリスのニュータウンを手本として、1万人規模の住区を造り、いくつかの住区の中に4万人規模の核となる住区を造り、全体で6万人程度の街を形成しました。これは「街の別館」と呼ばれました。
 1969年代には、政府が10年間で100万個の住宅を建設するミリオンプログラムを計画し、次々にニュータウンが建設されました。しかしながら、70年代オイルショックなどにより景気が後退し、移民などが自国へ帰っていき、77年のKISTA(シスタ)の開発を最後にニュータウン建設は幕を閉じました。この後、ニュータウンに一気に人を入れたことにより、数十年後老人ばかりの住宅団地になってしまった現状があります。
 また、ストックホルムの人口は、現在も増加し続けていますが、それは自然増ではなく、移民によって構築されています。最近になって移民が独自のコミュニティーを形成し始めています。
 現在のストックホルムの住宅事情は悪く、良質な住宅は不足しています。持家はほとんど無く、毎月家賃を払う賃貸住宅か居住権(借家権、借地権)による住宅が中心で、現在市は居住権による住宅を増やすように進めています。しかし、居住権は100㎡程度で2000万円から3000万円と決して安くはなく、低所得者層が簡単に手に入れられる物ではなく、街なかの賃貸住宅は不足し、郊外の古い公営住宅に住まなければならない状況にあります。
 このような状況の緩和に貢献しているのが、中距離普通電車や近距離電車、地下鉄です。図2からわかるように、郊外へ広く路線が張られています。郊外の古い公営住宅に住んでいる老人や低所得者をストックホルムまで繋ぐ役割を果たしています。資料1の※のところに「公共交通は深夜・早朝も動いている」とあります。これは、周辺の町村からストックホルムへ来る夜間労働人口と昼間労働人口の違いがあるからです。夜間労働人口の約40%,昼間労働人口の約55%が中心都市であるストックホルムに通勤に来ます。
 また、通勤電車として利用される近距離電車や地下鉄の扉は広く、低床型になっています。乗降口付近に跳ね上げ式の椅子を配置することで、車椅子や乳母車のスペースが十分に取られています。低床型をわかりやすくシンボルマークにしたものが、図1のマークです。図1のような低床型のシンボルマーク以外にも、図3のようなシンボルマークもあります。日本であまり見られないシンボルマークとしては、図3の上段の真ん中にある、犬のシンボルマークです。これは、犬が乗車して良い電車についています。犬アレルギーの人のために犬の同伴乗車を禁止した車両が連結されていたり、犬の乗車自体を禁止している車両もあります。犬の同伴乗車は盲導犬などに限ったものではなく、一般的に飼われている犬の同伴乗車が許可れています。
 図3のホームページ画像では、SLの公共交通機関は、障害を持つ旅行者のための最も魅力的な選択肢と見られている、と書かれています。トラム(路面電車)は、観光用の古い車両以外バリアフリーの車両になっていますし、最新車両ははじめから低床型で作られています。そのため、障害を持つ旅行者には最も利用しやすい交通手段になっています。

投稿: 心理統計 | 2010年12月 1日 (水) 12時28分

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