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『美しい国』と煙草ーー馬鹿が厚化粧でやって来る

 安倍総理による『美しい国』の建設が論壇の話題になっている。この美しい国は、もちろん安倍総理が始めたのではない。少なくとも、戦後政治の総決算を標榜した1980年代の中曽根政治から始まる政治改革の総仕上げである。

 ここでは、支配階層の観点からすれば、生きているのが不思議な存在、戦闘的労働組合、新左翼運動、新右翼運動、任侠団体、路上喫煙者等を少なくとも、公共的領域から排除しようとしている。

 大学という空間に限定しても、大学はまさに「美しく」なった。立て看板はなくなり、喫煙者は追放され、セクハラはなくなった。よいこと尽くめと映るであろう。しかし、事態はより深刻になっている。大学の根幹をなす講義が事実上成立していないのである。煙草を吸わなくなった学生は、のべつ携帯電話で遊んでいる。煙草を吸いながら、本を読み、議論していた学生は、携帯電話で遊び、勉強そのものを放棄している。

 人間はそれほど美しい存在ではない。細菌は皮膚を覆い、悪臭を漂わせている。それを隠そうとして、過剰な化粧品でもって自らの汚い顔を覆っている。それは、まさに悪臭でしかない。このような悪臭に満ちた人間を美しい国と言っているにすぎない。このような臭いならば、まだ紫煙のほうが優雅である。

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