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いしいひさいち戦争論と政治学ーー平等原理

 いしいひさいちの漫画において平等原理が大きな役割を占めている。それは初期の漫画『Oh、バイト君』においても確認できる。そこでは、東淀川貧民共和国と命名された平等主義的原理に基づく共同体が確認されている。この共和国の住人は貧困に基づく共同性をかなり楽しんでいる。わけもなく集い、そしてどうでもよいことに拘っている。このような共同性は現在、都市最下層の人間において見出すことは困難になっている。初期近代から後期近代への移行期において、その移行を免れた、あるいはその移行への潮流に乗り遅れた住民たちの共同性である。

 それは昨今流行した『三丁目の夕日』と同一の位相にある。初期近代における都市共同性へのノスタルジーに基づいている。現在、このような共同性の位相は、現在もその建物が残存しているという仲野荘にもないであろう。そのような共同性の原理を、戦争漫画にも導入している。

 徴兵された兵隊における共同性である。この平等主義的共同性が彼の戦争漫画を支えている。

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