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いしいひさいち戦争論と政治学ーー市民社会の理念

 いしいひさいち戦争論は数々ある。本ブログで紹介した本だけではなく、『戦場にかける恥』等の有名な本がある。また、忍者物も戦争論に加えると、その数は膨大なものになるであろう。

 そして、そのどれもが面白いのである。この面白さの源泉は、いしいの描くような軍隊組織が現実態において存在しないことにある。その一つは、本ブログでも紹介したように、士官と兵が隔絶しており、兵隊の間に序列がないことである。現実の軍隊において、平等な兵隊という設定は存在しない。徴兵された兵士はここでもまた、ヒエラルヒー化されている。その軍隊歴によって、差別化されている。軍曹、少尉等は軍歴の長さに比例して設定されるはずだ。ちょうど、市民社会における平等な市民ということがフィクションであると同様だ。

 しかし、本ブログで取り上げた漫画の設定においては、平等な諸兵が同盟罷業のようなことをしている。実際には、この同盟罷業、ならびその基礎にある兵員同士の平等性は存在しない。にもかからず、市民社会の理念、つまり理想である平等性を持ち込むことによって、この漫画の面白さが成立している。

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