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福祉の充実が少子化を推進する

社会国家の実現と少子化の推進

少子化は、先進国特有の現象である。グローバルスタンダード、つまり地球規模で考えれば、人口は爆発的に増大している。求められている社会政策は、少子化対策ではなく、むしろ少子化の推進である。人口の増大ではなく、むしろ人口の抑制である。しかし、ここでは地球規模ではなく、国民国家の水準で考えれば、人口は減少している。合計特殊出生率は、1.3前後であり、いずれ人口が減少することは、明らかである。

この原因として、女性の社会進出、晩婚化等が挙げられている。しかし、ここでは社会国家、つまり福祉国家の完成にその原因を求めてゆこう。巷に言われているように、福祉の貧困ではなく、福祉の充実によって少子化が進展している。そのように考えなければ、社会国家が未成熟であればあるほど、少子化は進展していない。むしろ、福祉が充実すればするほど、少子化は進展している。

ここでは、老人の寿命の拡大から、この問題を考察してみよう。老人の寿命が拡大し、かつその年金制度が充実しているかぎり、多くの若者は子供を育成する必要がない。老人の年金に依存することによって、生活設計がより可能になる。彼らの老後を生まれ来る新しい世代に依存する必要がないことだけではない。パラサイトシングルだけではなく、若者の生活全般において、老人世代からの援助で生活が可能になる。そのような老人世代の精神的、物質的依存において、子供の生産よりも、もっと楽しいこと、たとえば趣味の世界に生きることが可能だからである。

また、後期近代における社会国家の進展は、個人という意識を拡大してきた。もはや共同体という概念が死語と化している。そこでは、個人は自己の老人化を含めた生活設計を講じる。そこでは、個人の快楽を優先させることが可能であり、子供の生産という重い仕事は、趣味の世界と比較して割りのあわないものになる。

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