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ニートと社会国家

ニートと社会国家

 ニートは後期近代に成立した社会国家と関連している。この社会国家は、初期近代において成立した思想であり、後期近代においてその思想が現実化された。たとえば、カール・ナウヴェルクは、「非自発的な失業者に対して、自治体と国家が最低限の生活保障をしなければならない」という思想を19世紀中葉に表明している(前掲書133頁)。非自発的な失業者、つまり倒産による解雇、指名解雇、疾病と事故等による労働不能者に対して、国家と社会の責任を明確にしている。この思想が後期近代の福祉国家につながっている。

 しかし、この非自発的失業者という概念が後期近代において制度化されることによって、変容する。もちろん、国家的に救済されるのは、非自発的な失業者だけである。しかし、労働から解放された国民が存在し、彼らが生存権を保障されることによって、社会的に以下のような事態が承認されることになる。すなわち、「働かざる者、食うべからず」という初期近代の社会的通念は、「働かざる者が、食う」へと変態する。非自発的失業者という概念は、自発的失業者、無業者、待業者(Arbeitsbesuchende)へと拡大される。

 

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