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徴兵制と憲法改正ーー国家の二重性の揚棄

ナウヴェルク(K. Nauwerck 18101891年)は、この国家に関する二つの相対立する概念を以下のようの選択肢を提起することによって、解決しようとする。(田村伊知朗『近代の揚棄と社会国家――初期カール・シュミットと初期カール・ナウヴェルクの政治思想』(萌文社、2005年、128頁))近代における武装組織としての常備軍は、市民に敵対してきた。統治機構において軍隊は、その最も官僚的組織であった。ナウヴェルクは、統治機構としての国家を国民共同体としての国家へと転換しようとした。常備軍はその命令者である国王に忠誠を誓っていたが、この常備軍と並んで、市民武装を提起する。武装した市民は、市民自身に対して責任を持つ。統治機構としての軍隊は、市民ではなく、統治機構それ自体を守護しようとする。市民自身が自発的に武装することによって、統治機構の下級機構としての徴兵制とは異なる形式の市民参加を実現しようとした。

 統治機構としての国家と国民共同体としての国家は、混同されているが、近代国家において二重に存在している。問題は、この二重性をどのように揚棄するかにかかっている。ナウヴェルクの解決策もそのひとつであろう。ただし、初期近代とは異なり、後期近代において市民武装をどのような現実態において実現するかについては、より詳細な検討が必要であろう。

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