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『ヒトラー~最期の12日間』都合のよい情報の選択

 「ヒトラー 最期の12日間」は戦争映画を超えて人間の普遍的な問題と関連している。それゆえ、たんなる戦争映画という範疇を超えて、一般的人間の感情に訴えてる。そもそも、ある映画は、戦争映画、ピンク映画、刑務所映画、アクション映画、ホラー映画、やくざ映画等というそれぞれの範疇に分類されている。しかし、その映画が一般的な範疇を超えて、普遍的人間の問題とかかわるかぎり、その範疇を超えて映画史に刻印される。

 この映画において興味深いことは、ベルリン陥落という状況下にありながら、ヒトラーも含めてた高官たちが、ありもしない「第9軍」、あるいはシュタイナー軍団がベルリンを解放してくれるという幻想に浸っている点である。少なくとも、普通の考えれば、ベルリン市民が水道、電気等がない状況下において、そのようなことはありえない。にもかかわらず、そのような自己にとってのみ、有利な情報を選択し、都合の悪い情報をないものと考えることはよくあることである。ほとんど、ありえない状況を仮構し、そのなかで夢想することは、人間にとって幸福である。しかし、いつかこの幸福な状況は現実に直面せざるをえない。ヒトラーのこの仮定(シュタイナー軍がベルリンを解放する)を、幻想、妄想として嘲笑することは、簡単である。しかし、我々もまた、この嘲笑される状況下にあるのかもしれない。

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